銀魂
□ココア
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『…はぁ〜!寒っ』
そう呟いて、学校の昇降口へ出た。
ココア
今日の朝は秋にしては珍しく、雨が降っていた。
なので、チャリ通の私は、お母さんに学校まで送ってもらったのだ。
雨ラッキー!なんて思ってたけど……。
『…全然ラッキーじゃなかった…』
そう。アンラッキーなのだ。
お母さんは残業があるらしく、秋とはいえ、もう冬に近いほどの寒さの中、車を待たなくてはならなくなってしまった。
これでまだ雨が降ってたら、もう地獄だけど幸い雨は午前中で止んだ。
…とはいえ、この寒さ!
尋常じゃねーよ!!
マフラーだけが救いだよー!
心の中でいろいろ愚痴をこぼしていると、
「〇〇じゃねーかィ」
後ろからよく知った声が。
『沖田。部活お疲れー』
彼は、3−Zで同じクラス。
クラスでは何かと目立つ存在。
土方をよくいじるし、神楽とはよく喧嘩するしで、よくクラスを賑わせている。
それに、沖田はかなりドS。
この学校でその事実を知らないのはいないだろう。
そんな彼だけど、私はひそかに想いを寄せている。
偶然隣の席になってから、遠目にしか見てなかった沖田と話すうちに、その想いは大きくなっていった。
「こんな寒みー中、何やってんですかィ?」
『お母さん待ってるの。ほら、今朝雨降ってたじゃん?だから、送ってきてもらったから』
「雨なんか降ってやしたかねィ。俺が来た時には止んでやしたが」
『それは、沖田が来る時間が遅いからでしょー。今日も、3時間目から来たしさ』
「昨日の夜、ボスがどうしても倒せなくてねィ。つい夜更かししちまいました」
『ははっ!バカだ〜』
「てめぇに言われたかねーや。この万年追試野郎が」
『数学オンリーですけどー。そう言うと、私が全教科で追試みたいに聞こえるからやめて』
こうやって、憎まれ口を言い合うのも、少し楽しかったりする。
…本当にむかつく時もあるけど。
その時、ビュウッと冷たい風が吹いた。
寒いーー!!
お母さん、ヘルプミー!
必死に手をこすり、温めようとする。
「…あ、いけね。忘れ物した」
ボソッと沖田は呟いた。
『まだ学校開いてるから、取り行っちゃえば?じゃあ、また明日ね!』
「おー」
楽しい時間は終わりか…。
少し寂しかったけど、笑顔で手を振った。
…にしても、寒いな〜。
お母さん早く来ないかなぁ…
手をこすり合わせながら、ぼんやりと思った。