★華架☆小説★
□ディテクティブ・ナイト[第1話]
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赤い赤い炎が燃え上がる。
熱い。苦しい。
それは消えることを知らず、尚燃える。
「父さんっ!母さんっ!」
少年が燃え上がる炎の中で叫ぶ。
「雨水!早く家から出るんだ!」
雨水と呼ばれた少年は、嫌だ!と叫んでそこから動こうとしない。
「雨水!来るな!早く外へ非難しろ!」
「でも・・・まだ父さんと母さんが!」
「大丈夫だ雨水。父さんたちも後から必ず行く。
・・・大丈夫。オレが今までに嘘ついたことあるか?」
「・・・・・ない」
「だろ?だからオレを信じろ。」
「わかった。父さん。母さん。必ず出てきて。」
雨水はそう言って家の外に出て家のほうを振り返る。
雨水は一瞬目の疑う。
雨水の目に映ったのは、赤々と燃え姿を変えた自分の家。
周りの野次馬も遠くに聞こえる消防車のサイレンも雨水の耳には何も聞こえなかった。
「父さん。母さん。」
雨水は唯々、2人が出てくるのを願う。
『オレを信じろ』
その言葉だけを胸に願っていた。
だが、次の瞬間──────
ものすごい音と共に雨水の家は跡形もなく崩れ去った。
───雨水はその場に崩れた。
「そんな・・・まだ父さんと母さんが」
雨水は立ち上がった。そして燃え盛る炎に飛び込もうとした・・が、周りの人に捉まえられていくことは出来なかった。
「父さん・・・・・・・・母さ────────ん!!!!!!!!!」
「コーヒーはいったでぇ。
・・・・ナニやってんの雨水?」
大阪弁でその部屋に入ってきた男は、その部屋の真ん中に置かれてある大きい机にドカーンと座っている『雨水』と呼ばれる少年をみて、目を点にした。
雨水はおそらく十人以上は座れるであろうソファーにドカーンと座って、その前にある大きい机を所狭しと言うかのようにたくさんの本や雑誌で埋め尽くされている。
「見てわかるだろ?クロスワードパ・ズ・ル」
雨水は顔を上げて言った。
「わかってるけど・・・・もぉすぐみんな帰ってくんねんからかたずけてぇやってゆってんの。」
「あぁ!」
雨水は納得したように本や雑誌をかたずけた。
すると、
「ただいまぁ〜」
ノックもなくいきなり部屋に十人の男女が入ってきた。
「お帰り〜。事件解決?」
大阪弁の男が入ってきた人たちに聞いた。
すると、そのうちの一人が答える。
「当たり前だ。『ディテクティブ・ナイト』である俺達に解けない謎はないんだよ。」
「ま、聞くまでもないな。」
大阪弁の男ははっきりと言われて、ちょっとしかめっ面をしながら笑い飛ばした。
さぁ、このへんでで俺達の紹介をしようか。
オレは睦月 雨水。一応年齢的には高校生だけど高校は行ってない。
で、大阪弁の男は如月 啓。年齢はオレと同じ16歳で、コイツはちゃんと高校に行っている。後、コイツはモデルの仕事もやっているんだ。
俺たちのいるこの部屋は警視庁の中で警視総監の部屋の隣にある部屋にいる。
この部屋が何の部屋なのか、そして俺達の集まりは何かというと、さっき言ったとおり『ディテクティブ・ナイト』なんだ。
『ディテクティブ・ナイト』って言うのは直訳で『探偵騎士』。『騎士』って言うのはその対象を守る人のこと。
その名前のとおり俺達は、警視総監直属の探偵で、警視総監の騎士。
俺たちは全国から集められた全国トップクラスの推理力と武術能力を持った集団で、難事件がおこったときに事件を解決しにいったりする。
あと、警視総監の護衛もするんだ。だから『ディテクティブ・ナイト』で『探偵騎士』。
一般市民もこの存在は知っているがメンバー全員を知るのは警視正以上の階級の人のみ。しかも何故かわからないけどその階級の人は『ディテクティブ・ナイト』を目の仇にしている。
俺達の警視庁の中での地位は警視総監の下で警視監の上って所かな。つまり警視庁のbQってこと。
そして、ディテクティブ・ナイトの中でもランクがあって、ディテクティブナイトは12人いるんだけど、それぞれの推理力と武術能力など、総合的に見て
『ディテクティブ・ワン』から『ディテクティブ・トゥエルブ』まであって俺はその中でトップの『ディテクティブ・ワン』で啓は『ディテクティブ・ツー』なんだ。
警視総監や補佐官は『ディテクティブ・ナイト』を略して『ナイト』ってよぶときもあるんだ。
まぁ、このへんで俺達の紹介は終わり。
「なぁ、雨水〜。暇じゃね?俺ら。」
啓がクロスワードパズルをしている雨水に話しかけた。
「そうか?俺は今、忙しいって言っても過言じゃないけどな。なんなら啓もするか?パズル」
雨水は啓の『暇』をさらっと『忙しい』に変えた。
「いや・・・遠慮しときます・・・」
啓はそういって雨水の元から離れた。
なぜかというと、これ以上雨水のパズルの邪魔をしたら殺されると啓は本能で感じたからだ。さっきの雨水の『忙しい』からとてつもない殺気を啓は感じ取ったのだ。
「なぁ海堵〜暇だなぁ〜」
啓が海堵という男に話しかけた。
「あぁ。総監の警備も最近ないしな。」
「難事件もおこんねんしなぁ〜」
啓と海堵がそんなことを話ながら談話室のテレビをつけた。すると
『え〜次のニュースです。また通り魔が現れました。今度は千代田区、霞ヶ関です。では、現場の高梨さん。』
『はい。現場の高梨です。今回通り魔が現れたのは千代田区霞ヶ関の警視庁前です。東京都を管轄する警察本部、警視庁の目の前で犯行とは犯人も・・・・・・・・・』
ホームに十秒ほどの沈黙が流れた。
その沈黙を破ったのは『ディテクティブ・フォー』の卯月 桜だ。
「なぁ・・・・ここって警視庁だよなぁ?」
「あぁ・・・・たぶん・・・・・・」
みんな、黙りきっていた。すると
「まぁまぁ。おこったことはしょうがないやんっ。それより犯人捕まえるほうが大事やんっ」
啓が沈黙を破って元気に言った。
「でも、犯人ってもう捕まってるんじゃ・・・」
雨水が言いかけたときテレビの声がみんなの耳に入った。
『・・・・・・犯人はまだ捕まっておりません。テレビの前の皆さん、十分にお気をつけ下さい。繰り返します。犯人はまだ捕まっておりません。十分にお気をつけ・・・・・・・・・・」
雨水が黙り込んだ。そしてまた沈黙が流れる。するとその沈黙を破るようにドアが勢いよく開いた。そこから顔を出したのは補佐官兼お目付け役の時雨 野分だ。
「みんな大変だ!ディテクティブ・ナイトに調査の依頼が来たぞ!」
野分が言うと、みんなビックリした表情で野分を見た。ディテクティブ・ナイトへの調査依頼はよほどの事件じゃないとこないことなのだ。
だが、啓はその野分を吹っ飛ばして、
「それどころやないやろっ!!」
と言った。
啓は野分が持ってきた事件よりさっき見たニュースを担当したいらしい。
すると野分もそれに負けず
「何が『それどころやないやろ』だ!今回の事件がどれだけ大切なものかわかって言ってんのか!警察の面子がかかってるんだぞ!」
「警察の面子とか知らんしっ!そんなん俺に関係ないしなっ!」
「なんだと?お前それでも警視総監に仕える騎士かっ!」
「俺は警視総監の騎士であってお前の部下じゃないっ!」
啓と野分の喧嘩を他のメンバーは黙って見ている。啓と野分は犬猿の仲でこの喧嘩はいつもどうりのことなのだ。
「お前・・・こんな前代未聞の大事件が起きているのに・・・」
「前代未聞だがなんだかしらんけど、俺の事件もそこそこ大事件やねんっ!」
そこまで言うと二人は一度黙って大きく息をすった。そして2人でデュエットで、
「警視庁の前で殺人事件が(啓)おきてんでっ!
(野分)おきたんだぞ!」
と言った。その瞬間、啓と野分はビックリして黙り込み、他のメンバーは必死に声をころして爆笑していた。そして、それに耐え切れず雨水が大声で笑い出した。
「やべぇ・・・・・笑いすぎて腹いてぇ・・・・・・・・・」
「ほんとそれ〜2人がはもるとかはじめてじゃん?」
「同じこと考えてながら喧嘩してたとかウケる〜」
『ディテクティブ・イレブン』の霜月 雪茄や『ディテクティブ・トゥエルブ』の師走 冬埜がお腹を抱えながら言った。
啓は「なんなんっ笑わんといてぇやぁ〜」と苦笑いで雨水たちに言った。
野分は咳をついてみんなのほうを向いて言った。
「まぁ・・・・・・・あれだな・・・・・そんなことなんでナイトから何名か行ってもらうぞ。」
「『そんなことなんで』ってどんなことだよ。」
雨水がすかさずツッコミを入れるが野分に無視されてショックを受けた。
すると、『ディテクティブ・スリー』弥生 雨明が口を開いた。
「何人かって何人いけばいいの?」
すると、啓がものすごい勢いで野分の元へきて、
「やっぱここ俺やんな!俺やんな!俺やんな!」
と何度も繰り返した。
「あ〜〜〜わかったわかった。とりあえず啓は決定!あと誰か行きたいやつ?」
野分が聞くとまず雨水が手を上げた。
「俺、最近事件担当してないからいくわ。」
「じゃぁ、啓と雨水な。あとは?」
野分が聞くとそれ以上手は上がらなかった。
「じゃぁ、今回の事件は啓と雨水が担当な。」
「オッケ〜」
雨水と啓がデュエットで言った。
「じゃぁ、詳細説明するから・・・」
と野分が言うと、そこに入ってきたのが『ディテクティブ・シックス』水無月 紫陽花だ。
「私、今ラジオのニュース聞いてるんだけどなんかディテクティブ・ナイト出動とか言ってたよ。」
そういって紫陽花はテレビをつけた。すると
『ただいま情報が入りました。先ほどディテクティブ・ナイトに出動要請が入った模様です。ついにこの事件もディテクティブ・ナイトの舞台になります。
今回はどのディテクティブ・ナイトが出てくるのでしょうか。』
そういって警視庁の中をのぞきこんでいる。
またもや、ホームに沈黙が流れた。
「どうすんの?」
「どうもこうも、ここまでされてるんならさっさと調査言ったほうがいいよな?」
「そおみたいやなぁ。んじゃぁちょっとコート着てくるわ。」
「コート着るの?」
「あぁ、だってもうディテクティブ・ナイトの出動知ってんだからわざわざ正体かくしてナイトクロスだけ持っていく必要もないだろ。」
啓はそういって自室にはいって、またすぐにでてきた。
「それじゃ、行きますか。」
「行きましょう。」
2人はそういって出て行った。