太陽を取り戻せ!
□第一夜 今宵、満月の下で
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やれ二十二世紀になるだの、2100年だの、去年あれだけ大騒ぎしていた奴らが馬鹿らしく見える。
機械だって、服装だって、二十一世紀と何にも変わりはしない。
ただひとつ、大きく変わったこともなくはない。
それは、影が人を襲うようになったということだ。
太陽を取り戻せ! 第一夜 今宵、満月の下で
真夜中、といってもいつも世界は夜だけど俺は影をにらみつけた。
Dランクのヘボ影は相変わらず気持ち悪いうねうねとした動き。
腰にあった刀をぬくと手にずっしりとした重みが伝わってくる。
銀色の刃が夜闇にきらりと光った。
「はっ!」
影と俺は音を立てずに交わる。
相変わらず空を切ったようで感触がなかった。
「キィィィイヤァァア〜」
次の瞬間、影は真っ二つに割れてするりと姿を消した。