太陽を取り戻せ!
□第一夜 今宵、満月の下で
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「はーまったく影にはあいかわらずまいったよ。二十二世紀になったとたんに太陽が昇らなくなってあいつらが暴れだすなんてさ。おかげで東は崩壊。泣く泣くこっちに来てあげたけどさやっぱり東が一番だよ。あ〜東に帰りたいよ〜!」
俺の影狩りの相方、夏目が自分の武器である2本の小刀をくるくると回して鞘に収めた。
こいつは東が滅んでから(泣く泣く)こっちに移ってきた筋金入りの東大好き人間だ。
「うぜえ。うざすぎる。第一お前なんでさっき助けなかったんだよ!」
「だってあのレベルならオレが出るまでもないでしょ?あんなの竜一人で十分だよ。」
「何いってんだよ、俺のほうが強いのに。」
「それは、オレがまだ本領発揮していないんだよ。まあ体力温存ってやつ?」
あまりのうっとおしさにイライラした俺は殴ろうとしたが俺のペットのほうが速かった。
「ギュウ!」
「いった!ちょっと大福噛まないでよ!」
夏目は必死に大福を振り払おうとするが大福は頭から離れようとしない。
その名のとおりの大福のような白い体と天使の輪、青色の羽をばたつかせながら必死に羽ばたいていた。
「おい大福、もういいぞ。」
俺が声をかけるとようやく大福は頭から離れて俺のほおに擦り寄ってきた。
「キュウ〜♥」
「おいちょっと、くすぐってぇーよ…」
「竜おまえってツンデレだな…(笑)」
「うるせえよ。」
俺たちはそのまま石畳の広がる西の町を走り始めた。
明けることのない夜の闇にガス灯だけが光っていた。