コードネーム鬼茶

□第6話 猫柳館の大冒険!! 〜怪盗ご一行様ご案内〜
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 コードネーム鬼茶   第6話 過去と現在(いま)が出会うとき

あのあわただしかった夏休みも終わり、だんだん風が涼しくなってきた秋のアジト。

このとき、ウチはめずらしく起きていた。

「なあ、この間の事件ってマスコミはどう伝えてる?」

この間の事件ってのはウチらが舞姫を救い出したあの事件。

「怪盗、みごと行方不明の少女を救出!って見出しがおどってるよ。」

詰襟の制服に身を包んだルパンは少しあきれたような表情を見せて笑った。

怪盗、ルパン、鬼茶? この単語に首をかしげる人もいるかもしれない。

そう、ウチらは怪盗。現在はウチの祖父がつくった宝石を捜している。

ネットやテレビではウチらの顔を予想した絵が出たりしているけど、峰富士子並の絶世の美女とか、モデルのような美男子のようなものばかりでおおはずれ。

本当はぱっとしないメガネの少女と、坊主頭の野球少年の中学生コンビやのに。

まあほんとはもっときれいになりた・・・・コホン。

あれから後、舞姫はしばらく身を隠さないといけなかった。

マスコミが怪盗に救出された少女として探すのに必死だったからだ。

「鬼茶知ってる?あの事件でやくざたちは倉庫から発見されたけど、ジャックナイフが逃走中みたいやで。」

うそ!?そんな話どこにも書いてないで。

「警察が取り逃がしたってことが知られるとまずいから隠してるらしいわ。」

それはまずいなぁ・・・

ウチに復讐してくるかもしれんし、もしかしたら姫を取り返そうとするかも。

「大丈夫やって!鬼茶は強いしなぁ。」

そう言って、キラがウチの背中に抱きついた・・・・・・・えっ、キラ!?

驚いて思いっきり振り返るとウチのひじが腹に入ったらしく、彼はゴホゴホと咳き込んだ。

間違いなくキラだよ、うん。

でもなんでここにキラが?アジトのありかは4人しか知らないはずやで。

「あーそれは俺が呼んだからぁ。」

扉にもたれかかりながらはとむぎがそう言う。いつの間に来ていたんだ。

てか組織以外の人間をアジトに連れて来るってどういうこと!?

「やっほー、ルパン来たよ!」

「おじゃましまーす。」

入り口から当然のように舞姫、ハーレーも入ってくる。その後にプーアールが続く。

さすがにこの人数だとちょっと狭いな。

「へえー、ルパンのアジトってこんなふうになってるんだね。」

舞姫がアジトをうろうろと見て回る。

ウチはキラがもう1度抱きつこうとするのをかわして彼女の横に立った。彼が床に転ぶ派手な音が部屋に響いた。

せっかくだし、アジトの様子を説明しよっか。

空き家の地下におりて茶色の扉をあけるとまずベージュのソファが少し奥にある。いっつもウチが寝ているやつ。

その手前には低いテーブルがあって、そこにみんなのかばんが置いてあったりする。

部屋の左側には古い箱型テレビ。ここではとむぎがテレビゲームをしたりウチがテレビを見たりしている。

ソファのななめ右には黄色がかった茶色の木目のダイニングテーブルとイス。

作戦を練るときなどはいつもここだ。ウチ以外の3人はだいだいここにいる。

一番奥の中央の壁の一部は隠し扉になっている。ここがウチの家とつながっているからウチはいつもここから出入りする。

その扉の左右に広がるのはそれぞれの趣味のスペース。

左側にはとむぎのプラモデルやフィギュア人形が所狭しと並べられていて、右側にはウチとルパンの本がぎっしりつまった本棚がある。

その上にはルパンやプーアールのスポーツ選手のポスターだ。

あとは右端のほうにガラクタや衣装、化粧道具のおいてある小さな部屋があるだけ。

トロッコにはもっと地下におりないと乗れないしね。

各個人の部屋なんてものはない。みんなが集まって適当にしゃべって遊んで、仕事する。そんな組織だ。

ウチはこの人数の多さはめずらしいなあ、と思いながらもテーブルについた。

ほかのみんなも横に座ったり、座れない人はソファや周りに立っていた。

いつもなら大騒ぎになりそうなのに席に着いたとたんにみんな真剣な顔をしていてなんだか変だなあなんて思う。

そんな重々しい空気の中、はとむぎが口を開いた。
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