コードネーム鬼茶

□最終話 バッドエンドは大嫌い(上)
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コードネーム鬼茶 第七話 バッドエンドは大嫌い 

「なんか信じられないよな。」

「そやなあ、まさか結婚なんてねえ。あのハーレーが。」

ウチとルパンは花壇に座ってずっととりとめもない会話を延々と続けていた。まだ回答になる前の思い出話だったり、怪盗になってからのさまざまな出来事だったり。そういう時間がもてるのがとても幸せだった。

季節はもうすっかり冬になり、ウチらは白い息を吐きながらポケットに手を突っ込んで身震いした。

「でも、本当にいいんやな。結婚式に出なくて。」

「お前もそう思ってたんだろ。もうこれ以上みんなとは関われない。」

あの大冒険の後、ウチは決意した。もうみんなに悲しい思いをさせたくない。ウチはあまりにも関係のない人を関わらせすぎた。みんなの反対があったとはいえ、それを押し切ったらよかった。こんな事を言ったらみんなに反論されるのは見えているから、こっそり姿を消そう。

それをルパンに言ったとき、まさか同じことを思っていたと言われるとは思わなかった。ほんと、コンビって以心伝心するもんだね。

だから、二人で相談して決めたんや。

この結婚祝いパーティーの様子をこっそり見たらみんなの前から姿を消そうと。

今が、まさにその瞬間だった。

「そんなん言っておいてめちゃめちゃおしゃれしてるやん!」

「そういうお前だって。」

二人は互いの服装を確認したけど、どちらも本当におかしかった。

ウチはかぼちゃ色のトレンチコートの下に黒のVネックシャツにグレーのスカート、薄い黒のタイツといった黒尽くめの、普段絶対にしないようなのを着ていたし(そもそもスカートをはくということがありえん)ルパンも黒のジャケットに縞模様(ボーダー?)のマフラー、ズボンといった格好。B系の服を着ているところしか最近見ていなかったから変な感じするわあ。

おかしい。だってこのパーティに参加しないのにこんなに準備ばっちりなんやで!!

もう直ぐパーティ開始十五分前。そろそろ人が集まってきたような気がする。

知らない人も知っている人も、懐かしく見えた。

「あっ、あれ直人さんと新吾さんや。」

「ほんまや、温泉旅行の時には世話になったよな。」

「あの時に圭人や星さんとも初めて会ったんだったな。」

ウチらはそんな人々を見てまた思い出話に花を咲かせていた。とはいえその花も咲いては直ぐにしぼんでいく。

もうすぐ、パーティーがはじまる。もうすぐ、みんなともお別れの時間だ。

「ルパン、時間や。もうそろそろ行こうか。」

「そやな、よいしょっと。」

ルパンが花壇から立ち上がり、ウチもゆっくりと起き上がろうとしたときだった。

「そうはさせんぞ。」

肩にやわらかい感触を覚えた後、聞き覚えのある声が聞こえ、振り返った。
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