コードネーム鬼茶
□最終話 バッドエンドは大嫌い(中)
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そのころホールでは厳戒態勢が続いていて、あのデコボココンビは客の苦情をようやく全部処理し終えていた。
「さて、これであいつらが外に出ることはない。次はどうする、宇治原?」
「とりあえず鬼茶を探すのが先や。見つけ次第、確保。次はルパンをあぶり出す。」
宇治原は鬼茶がいままでに見たとこがないほど落ち着いていたし、またそれが捜査の時の彼の真の姿でもあった。
「さっすが宇治原、相変わらずさえてるなあ。鬼茶の正体をつかめるなんて上もご機嫌やで。」
「いくつかのテレビロケの映像にに不自然に映ってた同一人物を見つけただけや。そういう出たがりな所は怪盗やな。」
さりげなく頭の良いところを見せようとしていたみたいだがドレスで着飾った若い女性を目で追っていた。
これこそが真の姿。
「そういうお前だってよくあいつらがここに現れるってよくわかったな。いったいどこからの情報や?」
「内緒や!」
駿河がひまわりのような笑みを見せたが、その裏には恐ろしい悪魔がいることぐらい宇治原はとっくに知っていた。
宇治原はもう少し問い詰めようとしたが突然の起きたバンという大きな音で言葉をさえぎられた。
見るとどこか見覚えのある茶髪の少年が苦しそうに倒れている。とたんにみんなが大慌てで駆け寄って彼をもみくちゃにさすりだした。皆が口々に叫びだし、ここを封鎖するといった時よりも騒がしくなった気がした。
「おい、あれって人気モデルの加藤克貴や!」
焦った駿河が走り出そうとするのを宇治原が冷静に抑える。
「待て、鬼茶の罠かもしれん。あいつを探したほうが・・・」
「ウチならここにいますけど?」