告白予行練習

□部活
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廊下で引きずられながら部室を目指す私。
そんな私を引きずりながら部室を目指すラビ。


さっきから廊下にいる生徒たちに変な目で見られるんだよね。


私達のクラスに人がいなかっただけで、今は文化祭準備期間だから多くの生徒が学校に残って作業をしているのだ。


まぁこんな変な格好(首に腕を回され私は後ろ向きで引きずられている格好)で廊下の真ん中を堂々と歩いてたらそれは見られるよ。


でもそれを見た生徒達の声に「仲良いね」ならまだしも「リア充爆発しろ!」とかあったからね。


誰がリア充だ!まだリア充じゃないから!できればなりたいけど!


ちなみになんで私達のクラスに人がいなかったかというと、焼きそば店を屋台でやることになったので教室は使わないから、ということらしい。


ずるずると大人しく引きずられていると、職員室からリナリーが出てきたのがわかった。


「リナリー!」


大きく手を振ると振り返してくれるリナリー。

相変わらず美しいなー
歩く様もモデルの様だよ


「もう部室行くの?」
「そーさー」
「私はまだ先生に呼ばれていけないから、これ持っていってくれる?」


そう言ってリナリーは手に持っている紙をラビに渡した。


部室へと続く階段を登りながらラビの手元を覗き込む。
タイトルがあり、五線譜の上に音符が散りばめられている楽譜だ。


「今回私達のグループは恋愛がテーマなんだよね。上手く歌えるかなー?」
「まぁ大丈夫っしょ。愛花だし」
「意味がわからない」
「あんまし期待してないってことさ」
「喧嘩売ってんのかコラ」



ラビを睨もうと顔を向けた瞬間、段差につまづいた。



「っうわっ…!」
「っと、危ねぇ…」


ギリギリでラビに腕を支えてもらって顔面激突は避けられたけど、角にぶつけた脛が地味に痛くて涙目になる。

…ここ弁慶の泣き所だしね。


「…ありがと」
「どーいたしまして。階段で転けるとかほんとドジだなー」
「ドジじゃないし転んでない」


ラビに適当な弁解をしながら部室のドアを開くと、もうすでに練習しているグループ達の音で声が押しつぶされた。


ここの学校の軽音部は空いてる教室だったらどこでも使っていいことになっているから、私達はいつも隣の空き教室で練習している。

だからギターを取りに行ったラビにジェスチャーで先に行く、と伝えて隣の教室に向かう。


そこにはもうすでに神田とアレンが来ていて、それぞれの楽器を練習していた。


私がボーカルでラビがギター、リナリーがキーボード、神田がベースでアレンがドラムをやっている。


グループ名は灰男で、一応この学校ではトップのグループだったりする。

学校内のコンテストで連勝中だ。

そんな私達のグループは今回、文化祭でメインのグループとして中庭に設置される舞台で演奏することになっている。


それで今日はその時に歌う曲を決めて練習しよう、となっているんだけど…。


いつの間にかリナリーが教室に来ていて、楽器の音が止んでいた。


「みんな自分がやりたい楽譜持ってきたよね?」


そのリナリーの声でみんな自分のリュックから楽譜を取り出す。

そして毎回恒例の曲決めが始まるわけだ。

一通りみんなの楽譜に目を通すんだけど、そこからが長い。

当然、みんなは自分が持ってきた曲をやりたいわけで。


「やっぱ恋愛の曲といったらコレしかないさ!」
「いややっぱ甘酸っぱい感じのこの曲でしょ!」
「切ない感じのバラードよ!」
「甘さいっぱいのほうがいいですよ!」
「これだろ」



神田がちゃんと曲持ってきたのにはみんなで笑っちゃったよね。

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