告白予行練習
□距離
1ページ/1ページ
「んーアイスおいしー!」
「…幸せそうでなによりさ」
ラビに奢ってもらったアイスを食べながら道を歩く。
自分が食べてるのより高いアイスを私が食べてるのが気に食わないのか、不機嫌な顔をしてアイスを頬張るラビ。
まぁ気にしないけど。
自転車は適当なところに置いてきました。
「ラビのってなに?」
「チョコティラミス。愛花のは?」
「コットンストロベリー。」
「一口くれさ」
そう言って私が拒否する暇も与えずにラビは私の手ごと掴んでアイスを口元に持っていく。
「んー甘いなー」
な、なな、…か、関節キス!!
こういうことは初めてではないんだけど、顔が赤くなってしまうのはしょうがないことだ。
照れ隠しで私もラビと同じように手を掴んでアイスに口をつけた。
コーンごと食べてやったら半泣きになったラビでした。
近くのハンバーガー屋さんに入って空いている席に座る。
ここもラビの奢りでいいって言うから、いつか倍返しにされるんじゃないかとハラハラしたのは内緒だ。
他愛ない話をしながらポテトやハンバーガーを食べる。
外から見れば彼氏彼女に見えるのかな、なんて考えたら顔が暑くなってきたのがわかったからすぐにやめたけど。
私って初心すぎない?
いつの間にか訪れていた沈黙。
目の前のラビはもう食べ終わったみたいで、窓の外を眺めながらジュースを飲んでいた。
私も食べることに集中しないと、とハンバーガーに目を向けたときおもむろにラビが口を開いた。
「…急に、どうしたんさ?」
何が、と言おうとしてやめる。
ラビは相変わらず窓の外に視線を外していたけれど、その目が悲しそうで辛そうな目をしていたから。
それに、なんのことかは検討がつく。
「…あれ、は…さっきも言った通り、告白、予行練習です」
「……それって、好きな人がいるってことか?」
「…ん」
「……そ、っか」
喉が渇いてジュースに口をつけるも、中身が無いのかズズッと虚しい音が響くだけだった。
「…応援、してくれる?」
「……あぁ」
「…約束だよ?」
「……ん、約束さ」
その日の帰り道はなんだか甘酸っぱかった。