リミット

□君のそんな顔は見たくない
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「先に行ってるファインダーってロイさん達だったんだね」

早速現地に着いたオレ達はそこの探索班の人達と顔を合わせた。

アリスは知り合いらしいがオレは全くの初対面。だから自己紹介が行われるかと思ったら、そんなことはなく。
なんていうか、温度差が激しかった。

「そういやアリス、傷はどうだ?」
「もう大丈夫だよ。さすがにこれ以上は休んでられないしね」
「アリスは仕事に一途だからな」
「それに関してはロイさんもでしょー」
「でもあのアリスが怪我をねぇ」
「フェイツさん、どういう意味…」
「…あのー、オレも仲間に入れて貰えないっすかね?」

向こうでは盛り上がっているが、放置されてるこっちとしては何とも言えない。
賑やかなファインダー達と孤独なエクソシスト、なんて悲しすぎるしオレの性格上少し不満だ。
手を上げて遠慮気味に呟けば一斉に視線を向けられて、凄い勢いで腰を曲げる二人に少し圧倒された。

「「すみませんでした」」

立場上、エクソシストが探索班より上なのはしょうがないことだ。
だけどやっぱり壁があるのはやりずらい。ダグみたいにからかい易い奴が増えれば1番いいんだけど。

「頭なんて下げなくていいんだよ、みんな」

なんでお前が言うんさ、とツッコミたくなったのは言うまでもない。
なんとかして頭を上げてもらって軽い自己紹介を始める。

「えっと、こちらがエクソシストのラビ」
「ラビっす」
「オレはここの指揮をとっているロイです。…今回はよろしくお願いします」
「…フェイツです」

顔面蒼白で自分の名前を告げる二人に苦笑が出る。
別にあんなことでコムイにチクったりしねぇよ。オレはどんだけ薄情な奴に思われてんさ。

今回の任務についての報告を聞き流していると、この環境に慣れたのかフェイツが顔を上げた。

「そういやラビさんと言えば、アリスの片思い中の人ですよね?」
「!?」
「あ、覚えてたんだね」

フェイツの言葉に平然と答えたアリスに目を見開いて、肩を掴んで詰め寄る。

「待て、待て待て。お前、何喋ってんの…!?」
「みんなにラビの格好良さをわかってもらおうと。…ていうか、ち、近い」
「アリスは仕事中でもラビさんってうるさいですから」

そう言うフェイツの言葉に場違いに頬を染めてるアリスの頭を叩いた。

「仕事はちゃんとしろさ!」
「ちゃんとやってるよ?」
「でも惚気話してんだろ!?」
「だって集中できないんだもん」
「そっちのほうが集中できねぇよ!」

これか。オレとアリスが二人でいると毎回温かい目で見られるのはこれのせいか。
だんだんと声が大きくなり、アリスの肩をガクガクと揺らしていると。
カチャ、と銃を構える音が二つした。

「ラビ…」
「…わかってるさ」

ゆっくりと腰のホルダーに手を伸ばしてイノセンスを構える。
横を振り向けば、さっきまで楽しそうに話していた人達はいなくて、アクマが二体、オレ達に銃を向けていた。
ちらっとアリスの顔を見ると、それは苦痛に歪んでいて。
何も出来ない自分に苛立った。




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