告白予行練習

□自転車
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部活も終わり、ちらほらと下校していく生徒を横目に校門の前で自転車を取りに行ったラビを待つ。


「あ、愛花ちゃん」

しばらく携帯をいじっていたら声が聞こえて顔をあげると、クラスの女の子が数人いた。


「お疲れ様。どのくらい進んだ?」
「まだ看板が出来たくらいかなー。、愛花ちゃんのほうは?」
「曲も決まって練習してるところ」
「そっか。絶対見に行くからね!」
「ありがとーっ」



ラビが来たと同時に会話が終わったからその子達と別れる。
別れ際に「私も彼氏欲しいなぁ」なんて聞こえたから気まずい気分なんだけど。

彼氏じゃないから!



「乗らないんさ?」


声をかけられたと思ったら、ラビは自転車に跨って後ろの席を軽く叩いていた。

急いで籠の中にリュックを入れて、座りながらラビの背中のシャツを掴む。



「そんなんじゃ振り落とされるさ」
「…んじゃ遠慮なく抱きつかせてもらいまーす」
「どーぞどーぞ」


ラビの許可も頂いたのでぎゅっとお腹に腕をまわすと、待ってましたと言わんばかりに初っ端からスピードを上げたラビ。

広い背中におでこをコツン、と合わせる。


私はこの時間が1番好きだ。

何故って言われたらそれはもう下心満載なんだけれども。

でもこの時間だけは、私はラビにとっての1番かな?と感じられる瞬間なんだ。
ただの自惚れってことはわかってるけど。
この瞬間が長く続けばいいなって思うよ。



少しだけ強く抱き着いたら、少しスピードが遅くなった気がした。



「あ、アイス奢ってね!」
「はぁ!?オレ金欠なんだけど…」
「バイトがんばれ!」
「…、愛花は絶対太るさ、うん。」
「ふざけんな眼帯」
「だって今も少しおもくなっ…ぃてっ!殴ることないさ!?」
「女の子にそんなこと言うなんて最低」
「女の子?どこにもいねーけど…って痛い!危ないから!チャリ倒れる!」

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