告白予行練習
□光景
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文化祭準備期間真っ只中。
私たちのクラスはあと屋台を作るだけ、ということで板を用意してノコギリで切る準備をする。
男子がやってくれると嬉しいんだけど、生憎そんな暇な男子は他の仕事や買い出しに行ってしまっていなくて。
それだったら私がやろう!
と自分から名乗り出たのだ。
「さすが愛花ー。かっこいいねー」
「そんな棒読みで言われても嬉しくない」
言いながら板を支えるために片足を台の上に乗せる。
スカートなんて気にしない。
「ちょっと愛花、あんたパンツ丸見えだよ?」
「そんなもの見る悪趣味な人なんていないと信じてる」
「いやいや愛花ちゃん人気グループのボーカルなんだからファンがいるでしょ」
「じゃあ変わってくれる?」
「……。」
顔をあげれば一斉にそっぽを向く女子一同。
そんなに女子力を見せつけたいらしいです。
私は文化祭に女子力はいらないと思うんだけどなぁ。
まぁ別に変わってほしい訳でもないからそのままノコギリを上下に引く。
これ二の腕めっちゃ使う。
ダイエットになるよコレ!
二の腕細くなっちゃうよやったね!
なんて調子に乗って切るスピードを上げたら腕がもげそうになった。
いや冗談でなく。
ギコギコと順調に切り進めていくと視界に赤が入って買い出し組が帰ってきたのがわかった。
ほんとラビの赤髪は目立つなー。
「お疲れさまー」
そのままの態勢で顔を上げて買い出し組を見ると、一斉に固まった男子達。
え、なに、怖いんだけど。
引き気味にその集団を見ていると、いち早くラビが正気に戻ったのか溜息を吐きながら足早に私に近づいてきた。
「ちょっとなんだったのアレ?怖かったんだけど」
「怖いのはお前のほうさ」
ガクッと膝に足をいれられ態勢が崩れて前のめりになるところをすかさずラビが抱きとめてくれる。
いやラビのせいで態勢崩したんけどね。
抗議しようとラビの顔を見上げたら睨み返されたのでますます意味がわからない。
「愛花ってほんと女子力ねーよな」
「はぁ!?」
「スカートの中丸見えとかあり得ないさ。しかもオレらが帰ってくるまでずっとあの態勢だったんだろ?」
「…文化祭に女子力は必要ないと思いまーす」
ふざけた口調で言うとこ頭を叩かれた。力加減くらいして下さいよ。
「ほんと……はぁ。愛花はあっちでペンキでも塗ってろさ」
「んじゃ代わりにラビ板切ってね」
「はいはい」
クラスでよく見るいつもの光景。