時を越える―book―
□“溺愛”
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残夏と柚葉の初めての愛の営みも無事終了し、
2人の距離も、また縮んだわけで。
「柚葉ー♪」
「残夏く、ん…、や、やめ……っ、」
「拒まないでよ、柚葉…」
人前でのスキンシップは当たり前となり、
住人もそれに慣れて、今ではあの凛々蝶でさえも2人にツッコまない。
とある日の今現在、残夏はラウンジでイチゴを頬張る柚葉に、キスをしたりしていた。
「くすぐったい……っ、ぅ、や、」
「……キミが、」
「ふ、……?」
「…本気で、拒むのなら…しない、けど」
「…っ、ぅー…」
「真っ赤で、やだやだ…って言われたら…やめられないよ、?」
「ぅ…っ、え、」
「本当は、イヤじゃないよね…?」
「……っ、ゃ、じゃない……っ、」
「…かーわい」
涙で濡れる柚葉のまつげを、ぺろりと舐めると、柚葉はまた可愛らしく小さく声をあげた。
「か、わいく、ないの……っ、」
「可愛いよ、…なによりも、可愛い」
「ぅー……っ」
「ふふー、照れたね☆」
「ゃ、…っ、残夏、くん…」
「なーに?♪」
「……す、き……だい、すき、」
「…んー…いきなり、どーしたの…?」
柚葉に顔を近づけて、近距離で照れた顔を見ていた残夏に、不意に柚葉の小さな言葉。
目をつむって、顔を赤くして、小さく口にした、愛の言葉。
残夏も平然を装って、どうしたの?と問うが、珍しく動揺しているらしく少しだけ頬が赤い。
「い、言いたくなった、だけ…、」
「…ボクも、だーいすき。世界中の、誰よりも、キミが好きだよ」
「…!わ、わたし、は…宇宙一、好き、なの、!」
「…ボクは、なにも比べ物にならないくらいに、キミを愛してるよ?」
「…っ、!、わたし、も、」
「わたしも……なぁに?」
「わた、しも……あい、してる、の、…」
「うん、知ってる♪」
「……、しあ、わせ、」
柚葉は眉を下げて、ほにゃりとやわらかく微笑んだ。
「可愛い…、ねえ柚葉。部屋、戻ろっか」
「でも、まだイチゴが……」
「持って帰ればいいの♪ね?」
「うん、」
このあと、部屋に戻って残夏に何をされるのか、はだいたい予想できる柚葉。顔が、真っ赤で。
残夏は柚葉の耳を、かぷりと噛むと、そのまま笑顔で告げた。
「覚悟、しててね」
今日は止めれる気がしないからね〜、なんて他人ごとのように言う残夏に連れられて、部屋に戻るのであった。
(いち、ご…)
(…イチゴ、使ってみちゃう?)
(…っ、も、やぁ…っ、)
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