時を超えて-book-

□4
1ページ/1ページ

夜は好きだ。
暗くて、なんだか、あの人を思い出す。

わたしの、大好きなひと。

その人はここの住人で…
思い出すと、会いたくなる。

彼がこのマンションに帰ってくるタイミングを毎度毎度 逃すが如く、わたしが用事で妖館を出ている。
いわば すれ違い、それで 1年近く会っていない。

思い出すと会いたくなって、寂しくなるけれど、だけれど、


夜は、好き。


ぼーっと、監視カメラを見る。
今日も、異常はないな…と管理人室を出ようとしたときに映った。


「ちよちゃん…?と、誰だ、この男……、…!」


不審者、らしい。
ちよちゃんが危ない、


「…っ」


走って、そこへ向かう。



「ちよちゃんっ…!」

「!?柚葉さ、…何故、ここへ…」

「カメラに映ってた、」


と、私はちよちゃんにまたがるその男を殴る。
力には、自信があります。


「っんだ、この女…!」


避けられたはずだった、けれど、無理だった。

もろに拳があたり、口は血の味がしたけれど、気にしない。

だけれど、


「これ以上動いてみろ、この女がどうなってもいいなら…」


銃口を、ちよちゃんに向けた。


不覚にも、動けなかった。



.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ