時を超えて-book-

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「んじゃ手分けして探そーぜ。初携帯の番号、教えろよ」

「ちよちゃん携帯買ったんだ、白、可愛い」

「あ、ありがとう…とでも言っておこうか」

「ふふ」


私はオレンジの携帯、拓真は凄く暗い深い緑の携帯を取り出す。


「最初の使い道がこれとはな」

「準備いいかー?」


と、赤外線送信。

心なしか、というか、ちよちゃんは嬉しそう。


「と、登録は、これで…」

「うん、できてるよ」

「……あっ、当たり前だ…」


照れているご様子。

そして、探すことに。

連は風にのって行く。のはいいけど、飛ばされてる?

ちよちゃんはそれを追いかける。


すると、黒いものがちよちゃんを包む。
私は、手を伸ばした。


「わ、わわわ!」

「柚葉!」


あっという間に、壁が。
最後に聞こえた拓真の声、答えるように叫ぶ。


「拓真、拓真っ…!」


暗い夜は、わりと好きだ。

だけれど、私にはトラウマがあった。

暗い、個室や部屋にいられない。どうしようもなく、怖くなる。


拓真は知っている、私の事情を。


「柚葉っ!」


向こう側で、拓真が叫んでいるのは聞こえない。


「拓真…っ拓真!」

「柚葉さん、落ち着け!」

「…ったく、ま、ぁ…っ!」

「柚葉、落ち着け、な?大丈夫、」


人型に戻った連は私を撫でた。


「連…っ…いたんだ…、」

「ひどくね?高い壁のぼってきたよ」

「………ぅ、」


連に、抱きつく。


「過保護な覚夜くんと、大好きなアイツに怒られるぞー」

「…いいのー!」

「いいのーじゃ、ないのー」


いつの間にか、ちよちゃんがこっちから壁を壊そうとしていた。


そして、開いた。



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