時を超えて-book-
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そして懇親会。
ちよちゃんと双熾はもめたのか、わからないけれど。
ぼーっと、会場でそんなことを考える。
「あ、ちよちゃん」
「あ、柚葉さん…」
ちよちゃんに会いました。
「やあ、白鬼院くんに雷羅くん。代表の挨拶は、考えてきたのかね?」
先生に話しかけられる。
「…ええ、まあ。期待しておいてくださいね。恥なんてかかないよう、完璧に決めますから」
「お、期待できるねぇ。白鬼院くんは?」
「ふ、当たり前でしょう」
「?」
「話を頂いたその日に原稿は出来ていますが、なにか?」
こんなところで悪癖でちゃった。フォロー…っと。
「ふふ、彼女、緊張しているんです。では、また」
「あ、あぁ…」
とりあえず逃げました。
「ちよちゃん、だめだよ」
「す、すまなかった…」
「うん、分かってる。でもね、とりあえずニコニコと笑顔ふりまいて、丁寧に話せば、大抵の人は信頼してくれるー…」
「…?」
「…そんなもんだよ、大人って」
そんなもんだよ、人間って。
「…柚葉さんも…僕と、少し似ているかもしれない」
「へ?」
こんな、性格の悪い、私と?
「何か事情があったのだろう。まあ挨拶まで落ち着くとしよう。また、後で」
「…うん、ちよちゃん、ありがとう」
「…僕は、感謝されることなどしていない」
「ふふ、うん。ありがとう」
「…変な人だ」
ふ、と笑って去っていくちよちゃん。
似ている、か。
『―――続いて、在校生代表の挨拶を――』
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