時を超えて-book-

□2
1ページ/1ページ

残夏くんの部屋の前です。

どきどき。

とんとん、とドアを叩く。


「残夏、くん、いますかー…」


私、眠いんです。
今にも寝てしまいそうなんです。


「入っていいよ〜」


そんな、いつもの残夏くんの声が聞こえたので、おじゃまします。

入ると、おいでおいでーと手招きしてくれる彼。

てくてく歩いて近づく。


ぐい、っと引っ張られ、ベッドの上。

残夏くんに押し倒されてる、ような。


「…?」

「…ボクだって、寂しかった」

「!」


彼はぎゅうぎゅうと抱きついてきた。
残夏くんは頻繁に帰ってきた。
そのタイミングを毎度毎度、逃すが如く、私は用事が出来て妖館を出ることがあった。

すれ違って会えなくて、彼も寂しい思いをしていてくれた。


「…残夏くん、苦しー…」

「…」

「残夏くん、」

「…ボクにも否はあるけど、ウサギさんは寂しいと死んじゃう」

「…ん」

「だから、これからいっぱい構ってもらうから、」


“覚悟してね”


そう言って、彼は、私にキスを落とす。
何度も、何度も、キスを落とした。


「…もっかい、確認してい…?」

「うん?」

「…私たちは、付き合ってないよね、…?」

「んー、どうかな?☆」

「……好き?」

「大好き」

「…うん、私も」


もう一度、キスをした。




.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ