時を超えて-book-
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「柚葉たーんっ♪」
「!」
おどろいた。いつのまにか 後ろにいた、ウサギさん。
「ふふ、なに考えてるの〜?」
「視えないー?」
「言ったでしょ、何故か柚葉たんのは視えないの」
「んー、ふふ」
「…もし視えてたら、柚葉たんの喜ぶようなことしてあげられたのに〜」
「…、ありがと、…あ、ウォークラリー、結局どっちが勝ったの?」
「んー?今回のは、そういう目的じゃなかったんだ〜」
「え?」
「渡狸とカルタたんをね、2人きりにして話させてあげたのー」
「あ、」
「こうでもしないと、気まずいままだったと思うから」
「…」
残夏くんは、やっぱり、優しい。
そこが、変わらない。
「…優しいね、残夏くん」
ふふ、と笑えば、
「柚葉も、優しいよ」
と、呼び捨てされ、照れる自分。
慣れない、なぁ。
「あ、そうだ」
「?」
「目、瞑って?」
「目…?」
ぎゅう、と瞑った。
ぷ、と笑い声が聞こえて、片目を開けたら、視界は暗くなっていた。
ふと残夏くんは離れていった。
「…っ」
「今朝の分のと、おやすみのキス☆」
「〜…っ、」
「じゃあ、おやすみ、柚葉たんっ♪」
彼は颯爽と去って行った。
「…ばか、」
大好き。
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