時を超えて-book-

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18年前に普通に生まれてきた私。

やっとのことで子に恵まれた両親、女の私が生まれてきては、家を継げない。

仕方なく私を跡取りに。

厳しかったのはそこからでした。

家庭教師をはじめ、ピアノや英会話、とにかく、なんでも習わされました。

5歳の時、男の子が生まれてしまい、今まで大切にされていた私は、ポイ です。
雷羅家は、弟を大事にするようになりました。



「お母さま、私は、」

「お前は化け物だ…っもういらない!」


先祖がえり、というものを知ったのも、そのときでした。
化け物らしいです。

5歳のころから、私は、ある部屋に閉じ込められました。
軟禁というものでしょうか。

その部屋には逃げ道はありません。
足は、鎖で繋がれて、思うように動けません。

小さな、両手の入るくらいの大きさのドアはありました。
そこから着替えやご飯を送ってもらいました。
お風呂やトイレはもちろん、 本棚もあり その中には本もたくさん。
生活に支障は来たさない、そんな部屋でした。

13歳の時まで、8年間、その生活。

勉強は、その部屋でやりました。
暇なときは、勉強。

学校にも行かなかったし他人と関わらなかった私は、いまだに、知らない言葉が多くて、ついていけません。

ある日、8年ぶりに、外に出ました。
いきなり、真っ向から迎えにきた拓真に手を引かれ、走って家を出ました。
わけもわからず付いていきました。わたしは、わけもわからなかったけれど、“孤独感”から抜け出せたような気がしていました。

それが、拓真との出会いでした。

拓真の家である覚夜家は、 代々 雷羅家に仕える家系だったらしいのです。


人間が怖かった。

彼も先祖がえりだった。

同じ、だった。


彼は、私の話を聞いて、涙を流した。

私を抱きしめた。大変だったなあ、って。


外は、よく分からなくて、怖かった。

ほぼ出たことないに等しかったから、怖くて、でも、拓真が ささえてくれて。


いつしか、拓真は私にとって、一番大切な人になっていたんです。



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