時を超えて~BOOK~
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突然のことだった。
私は、小さい頃に1度だけ 実の弟に会ったことがあった。
まだそのころ 弟は赤ん坊だったため、今の顔なんか分からない。
そんな弟が目の前に現れたのだ。
…まあそれがほんとの弟かも分からない自称弟(仮)とかじゃないのかと疑ってもいた。
「……」
「…柚葉さん、あなたの弟です」
「…はぁ」
あまりにもシュールな光景だ。
皆がいるラウンジでまったりティータイム、というところにいきなり現れた弟(仮)はそう言ったのだ。
「…いきなりそんなこと、言われましても…ってかんじです」
「僕と貴方は、血がつながった姉弟です」
「いやぁ、そう言われましても…」
「柚葉たん」
皆いるラウンジで、ということは残夏くんもいた。
“視えた”らしい残夏くんが、言う。
「その子、ほんとに柚葉たんの弟さんだよ…?」
「…えー…」
なんだか最近、急展開が多い気が――…
「(面倒事、おきなきゃいいけどー…)」
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