時を超えて~BOOK~

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「ん…っ、」


ふわ、と残夏くんには珍しく、優しくベッドに下ろしてくれた。
そして、残夏くんはベッドの縁に座る私に「ちょっと待ってね〜」となにかを探しに行った。

暫くして帰ってきた残夏くんの手には、救急箱。

なぜそれが分かったかって?
真っ白の箱に、赤十字のマークが印された箱だったからですよ。


「じゃじゃーん!」


と残夏くんが出したのは湿布。
冷却湿布なので、冷たいと。


「ん、」

「ふふ〜、ん」

「…っ、な…」


てっきり貼ってくれるかと目を瞑って待っていたら、なぜかキスが落ちてきた。


「ちが、湿布、貼ってほしくて、」

「うん、分かってる〜☆」

「ぅ……、」


時間はかかったものの、手当は終了した。


「――で、」


お説教でしょーか。


「…はい」

「…ほんとにごめんね、見てることしかできなくて…」

「ぅえ、大丈夫、だよ。こういうのは、慣れて…」

「だから、それがだめなのっ」

「…?」


首を傾げると、ふわりと髪を とかれる。


「“慣れ”ちゃだめ。こんなこと、慣れることじゃないんだからね」

「…」

「わかったら返事!」

「はい…」

「じゃあ一緒に寝る?」

「ん、着替える」

「柚葉の服、お風呂場に置いてあると思うから、着替えておいで」


そう言われ、二つ返事で浴室に向かった。
暫くして戻ると、
着替え終えていた残夏くんの髪がゆらゆら揺れていた。


「……いいなぁ、」

「なーにがっ?」

「髪、綺麗…」

「柚葉たんも、ふわふわしてて綺麗だよ?傷んでないし…可愛いし」

「……」


なんだか恥ずかしくて、照れてしまって、私は体育座りをして膝に顔を埋めた。
後ろから抱きしめられて、一緒に倒れ込む。


「ふ、わ、」

「寝よっか、柚葉たん」

「うん、」

「おやすみ」

「おやすみ、なさい、」


次の日の朝、学校なのに起こしてくれなかった残夏くん。
寝顔をずーっと見てた、と言ってごまかされましたが…もちろん遅刻しました。



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