航海士 シン

□裸足のままで
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ヤマトで生まれ育ったせいか○○が裸足で室内をウロウロする度にシンからよく注意をされていた。

部屋の中だけでならまだしも、廊下や甲板でもすぐに裸足になりちょくちょく飛び出した釘に足の裏を引っ掛けては、傷を作りソウシに診てもらっていた。

シンは、怪我をしたとはいえ、素足をソウシの前にさらけ出すのが何故かイヤで堪らず、何度も○○に注意をしているが一向に止める気配が無かった。

「おい、何度言えばわかるんだ!何度も何度も足を切ってんじゃねぇよ!」

「ご、ごめんなさい。裸足の方が気持ちよくて・・・そ、それに常に靴を履いて生活する習慣が無くて・・・」

「ここは、ヤマトの家じゃない!船の中だ!ましていつ、敵襲に遭うかもわからない海賊船だぞ!今度、同じ事を言わせると海の藻屑だからな!わかったか!」

「・・・は、はい・・・」

誤って海賊船に乗り込み、すぐには船での生活に慣れるわけでは無いのはシンも理解しているが、いつ何があるのかわからない海賊船で常に裸足でウロウロする○○にもっと危機感を持って欲しかった。

シンからこっ酷く怒られた○○は、室内から出る時には靴を履くように心掛けていたが、甲板掃除の時は、ついつい裸足になって掃除をしてしまう始末。

今も操舵室からシンは、○○がまたしても裸足で掃除をしている姿を見て頭を抱えた。

(あいつは・・・何度言えばわかるんだ!室内だけならまだしも・・・)

ハァーと深いため息しか出ないシン。

その時、甲板で○○がまた足を切ったらしくソウシが駆け付けて手当てを施していた。

シンは、舵を素早く固定すると二人のもとに近づき、鬼の形相をしたシンが○○に怒鳴りつけた。

「○○!お前は・・・!!!何度も同じことを言わせるんじゃねぇよ!!今日と言う今日は許さないからな!!!覚悟しろ!!」

懐に手をやったシンにソウシが間を取り持った。

「まぁまぁ、シン、抑えて。○○ちゃんだってついさっきまでは、ちゃんと靴を履いていたらしいよ。掃除をするのに濡れちゃうからってつい、脱いだそうだよ。」

「ドクター、こいつを甘やかさないで下さい!いずれヤマトに帰るんですよ。それに足が傷だらけでヤマトに帰すとシリウスの名が・・・」

シンの言葉を遮るように○○が大声で「ごめんなさい!せ、せめて靴下を履いて歩きますから・・・」とまた、見当違いの事を言う○○にシンの怒りが頂点を超えた。

「あのなぁー、裸足で歩くのも靴下を履いて歩くのも同じだ!!!とにかく靴を履け!!
く・つ・を・は・け!!!もう二度と言わんぞ!」

シンは、それだけ言うとその場を立ち去った。

「○○ちゃん、シンはね、○○ちゃんを心配して言っているだけだからね。こんなに怯えて・・・大丈夫だからね。」

シンの迫力にすっかり怯えきった○○をソウシは、そっと抱き寄せて背中をポンポンと叩き、子供をあやすようにして○○が落ち着くまでそうしていた。
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