航海士 シン

□裸足のままで
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その後、あれからシンと話しをしないまま、1日が終わり○○は落ち込んだまま部屋へ戻ろうとしたが、昼間のシンの怒りを思い出すと部屋へ入るのが躊躇われた。

(・・・まだ、シンさん、怒ってるかな・・・?夕食の時もまだ怒ってる感じだったし・・・)

○○が躊躇いがちにドアノブに手を掛けようとした途端、急にドアが開き、シンが顔を出した。

「いつまでそうしてボーッと立っているつもりだ?さっさと中に入れ!」

「・・・は、はい・・・あ、あの・・・シンさん、昼間はゴメンなさい。く、靴、ちゃんと履きますから・・・ゆ、許して下さい。」

ペコリと頭を下げた○○にシンがワシャワシャと○○の頭を撫でた。

「俺もきつく言いすぎたな。だがな、ここは海賊王が乗っている海賊船だ。いつ敵襲に遭うかわからない。だから常に気を引き締めていて欲しい。お前は、いずれヤマトに帰る身だ。何かあってからじゃ遅いんだ。わかったか?」

「・・・シン・・・さん・・・」

○○がウルウルした瞳でシンを見上げた。

「○○、早く部屋へ入れ。」

シンが大きく扉を開け放すとそこには、綺麗な刺繍を施したラグが部屋一面に敷いてあった。

「シ、シンさん・・・これ・・・」

「あぁ、ラグだが。お前は、何に見えるんだ?」

ニタッと笑ったシンに○○が目を白黒させていた。

「お前が裸足の方が気持ち良いって言ってただろ。室内だけなら裸足は許してやる!一歩、部屋を出る時は、必ず、靴を履け!いいな?」

昼間、あまりにも怒っていたシンが○○のためにラグを敷いてくれた事に感激し、大粒の涙をポロポロと溢した。

「何を泣いている。泣き虫だな。ったく・・・明日も早い。さっさとシャワーを済ませて寝ろ!俺は、これから見張りだ。」

「ありがとうございます。シンさん。」

「あぁ、それとな○○。いくらラグが敷いてあるからって床で寝るなよ!」

シンがそう言い残すと見張り台へと向かった。

一人、部屋に残された○○は、シンの言いつけを守り手早くシャワーを済ませて素足でラグの感触をさんざん楽しんだ後、ベッドへ潜り込み、夢の世界へ旅立った。




end
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