アプリ ネタばれ〜!アプリプレイ内容公開!! A
□シンバースディ
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カフェで紅茶を注文してから、私はお手洗いと言って隣のお店に走った。
たった1つだけ売られていた懐中時計を手に入れることができる、
(お金、足りてよかった。ソウシさんが買えそうな時計を選んでくれたおかげだな)
急いで席に戻ったものの、シンさんの機嫌は悪そうだ。
シン
「腹減りが我慢できないと言ったり、勝手に席を立ってオレを待たせたり・・・」
「一体どういうつもりだ」
○○
「すみません・・・でも、もう大丈夫ですから!」
シン
「大丈夫?」
「ふん・・・」
(どうしよう・・・シンさんの誕生日なのに機嫌損ねちゃった・・・)
○○
「あの・・・」
どうにかシンさんの機嫌を直そうと慌てていると、私たちのテーブルにケーキが運ばれてきた。
店員
「ダブルショコラケーキでございます」
○○
「え?頼んでませんけど・・・」
シン
「俺が頼んだ」
○○
「シンさんが?」
店員さんからシンさんに視線を移すと、シンさんは微笑を浮かべていた。
○○
「え・・・」
シン
「バレないように、俺を祝おうとしてくれたんだろう?」
○○
「あ・・・わかってたんですか?」
シン
「当たり前だ。俺を出し抜こうなんて100年早い」
○○
「・・・そうですよね。ごめんなさい。せっかくのお誕生日なのにばたばたして・・・」
「ケーキもきちんとしたものを用意したかったんですけど、準備が全然間に合わなくて」
うつむいた私の頭にぽんっとシンさんの手が置かれた。
○○
「シンさん?」
シン
「バカ。お前が傍にいてくれるだけで十分なんだよ」
○○
「シンさん・・・」
ケーキを一口切って、私に食べさせてくれる。
シン
「どうだ?」
○○
「美味しいです。でも、誕生日のお祝いなんだから、シンさんが食べてくれないと・・・」
シン
「俺はお前が美味しそうに食う姿を見たかったんだ」
(プレゼント、今、渡しちゃおうかな・・・。それとも、シリウス号に戻ってからの方が・・・)
ケーキを食べながらプレゼントを渡すタイミングを考える。
シン
「○○、ついてこい」
○○
「ちょ、ちょっと待ってください!」
ケーキを食べ終わってシンさんがすぐに席を立つ。
夕暮れ時・・・窓から見える空を気にするようにシンさんが見上げている。
(どうしたんだろう?天気が気になるのかな?)
お店の外に出ると、シンさんは街外れの方に向かっていった。
シデウスの街の裏は大きな森になっていた。
シンさんは私の手をとって森の中を歩き始める。
○○
「シンさん?もうすぐ日が暮れるのに、森に入って大丈夫なんですか?」
シン
「ああ」
○○
「この森に何かお宝でも?」
シン
「・・・ちっ、降りそうだな」
シンさんが空を仰いで舌打ちをする。
○○
「雨が降るなら森を出た方が・・・」
私が空を見上げると、大粒の雨が頬に落ちた。
それはたちまち大雨になり、強い風が吹き始める。
シン
「あそこの岩場で雨宿りだ」
○○
「はいっ」
急に降り出した激しい雨に、私たちは岩場に影に身を寄せた。
風雨から庇うように、シンさんが私を抱き締めてくれる。
シン
「このままでは・・・」
○○
「船に戻れないですか?」
シン
「いや・・・」
○○
「この山に何の用事があったんですか?」
シン
「・・・・・・・・・・・・」
シンさんは質問に答えてくれない。
(シンさん、どうしたんだろう・・・)
シンさんの顔を見上げて体勢を変えた時、自分のポケットに手が触れた。
そこにあった膨らみがなくなっていることに気が付く。
○○
「!」
(ポケットに入れておいたシンさんへの誕生日プレゼントがない!)
(街を出る時までは入ってたのに!?森のどこかで落としたのかも・・・)
○○
「探しにいかないと・・・!」
シン
「○○?」
立ち上がった私の腕をシンさんが掴む。
シン
「何考えてるんだ!嵐の中に飛び出すバカがあるか!」
○○
「大切な物を落としてしまったんです!あれだけはどうしても!」
シン
「バカ!お前より大切な物があるか!」
○○
「!」
腕を引き寄せて、シンさんは私をきつく抱き締める。
○○
「シンさん・・・」
シン
「大人しくしてろ」
○○
「は、はい・・・」
シンさんの鼓動が聞こえてくる。
その音に耳を傾けているうちに・・・次第に雨は小降りになっていった。
空が闇に染まった頃。
ようやく雨が上がり、風もおさまった。
シン
「どうやらこの島特有の突発的な嵐だったらしい」
○○
「すっかり暗くなっちゃいましたね」
シン
「行くぞ」
シンさんは岩場を出る。
シリウス号に戻るのかと思いきや、シンさんは森の奥へと進んでいく。
(シンさん、どこに向かってるの・・・?)
そして、森を抜けた先に見えたのは・・・・・・
○○
「わ・・・海・・・」
雨上がりの浜辺には雨粒がキラキラと光ってる。
○○
「綺麗・・・シンさん、海を見たかったんですか?」
シン
「見せたかったのは、これじゃない」
○○
「え?」
シンさんが空を指差した。
空を見上げると、一筋の星が流れる。
○○
「あ、流れ星・・・」
1つの流れ星を追うように、いくつもの星が瞬いた。
無数の星が空を流れ始める。
○○
「流星群・・・?」
シン
「この島へ別名“星の降る島”だ」
○○
「えっ」
シン
「俺を“星の降る島”に連れていきたかったんだろう?」
○○
「それもわかっていたんですか?」
シン
「お前のことは何でもわかってる」
私を見て、シンさんは余裕の笑みを浮かべる。
(シンさんには敵わないな・・・)
○○
「シンさん、誕生日プレゼントなんですけど・・・ここに来るまでになくしてしまったんです」
「この街で買ったんですけど・・・」
シン
「これのことか?」
シンさんが上着のポケットから箱を取り出す。
○○
「そ、それです!シンさん、どうして・・・」
シン
「街を出る時に転びかけたお前が落としたのを拾っておいた」
「開けていいな?」
○○
「はい!」
包み紙を破って、シンさんは懐中時計を取り出す。
シン
「懐中時計か・・・」
「フン、こんなもので俺が喜ぶとでも?」
○○
「え・・・あ・・・」
(選択してください)
A.気に入りませんか?
B.喜ぶと思って・・・
C.いらないなら返して
・・・・・Aを選択・・・・・
○○
「気に入りませんか?シンさんに似合うと思ったんですけど・・・」
シン
「ほう・・・お前は俺をこの程度の男だと思っているのか?」
○○
「そ、そういうわけじゃ・・・。本当はお宝の時計とかがあればよかったんですけど、私には難しくて・・・」
シンさんはフッ・・・と表情を和らげると、私の肩を抱き寄せた。
シン
「喜んでいるさ」
「ありがとう・・・祝ってくれて」
○○
「シンさん・・・」
ハヤテ
「シンー!○○―!」
海の方から、私たちを呼ぶ声が聞こえる。
シリウス号が近くまで来ているらしい。
○○
「私たちを探してる・・・ハヤテさっ」
シン
「○○」
○○
「え?んっ・・・」
呼び声に答えようとした私の口をシンさんがキスで塞いだ。
シン
「今日は俺の誕生日だろう?」
「だから・・・夜が明けるまで、誰にも邪魔はさせない」
吐息が触れる距離でシンさんが甘くささやく。
シンさんの腕の中から流れる星空を見上げて・・・・・・
彼の誕生日はふけていった・・・・・・
end
→みんなで宴