シリウスだよ!全員集合!

□お年玉
1ページ/2ページ

医務室で大掃除の真っ最中の○○が思案顔でソウシに話しかけて来た。

「ソウシさん、もうすぐお正月ですよね。」
「そうだね。また、ひとつ年を取るね。」
「ヤマトではね、お正月に子供にね、お年玉を渡すんだけど・・・。」
「お年玉って?」
「ポチ袋に年に応じた額のお金を入れて渡すの。」

(○○ちゃん、お年玉が欲しいのかな。ふふふ。考えてみようかな。)

「ソウシさん、でね・・・って聞いてます?」
「あっ、ゴメンね。もう一度、聞かせてくれる?」
「ちゃんと聞いててくださいね、もう一度、お話しますね。」
「ゴメンね。」

○○ちゃんが言うには、子供って言えどもだいたい18歳くらいまで
お年玉を渡すらしく、シリウスの最年少のトワにお年玉を渡した方が良いのか
悩んでいたらしい。

「どうしましょうか?ソウシさん。」
「トワは、一生懸命仕事頑張ってるし、お年玉渡してもいいじゃないかな」
「そうですよね、ソウシさん!船長たちに話してもいいかな?」
「話すのはいいけどお年玉を渡す相手がトワだけって聞いて約1名だけ騒ぎ出しそうだけどね。」
そう言ってソウシは、○○にウィンクした。

(ハヤテさん、怒るかな)

みんなに話しだけでもと思い、まずは船長室から回ろうと足を向けた。

コン、コン、コン、コン
「○○です。船長、入っていいですか?」
「おぉ、いいぞ。」
リュウガは、めずらしくお酒も飲まずに真面目な顔して書類に目を通していた。


「おい、どうした?俺の顔に何か付いてるか?じっと見てよぉ、それとも惚れたか?」
「惚れてません!お酒飲んでないのがめずらしくて・・・」
「俺だって飲まない日もあるぜ。それより用があんだろ?」

素面のリュウガを不思議に思いながらも○○は、お年玉の事を話した。

「トワは、何事も一生懸命だしな。弱音吐く事無く頑張っているからな。褒美の一つや
二つやってもいいな。いい機会だ。俺からも用意しとくぜ。」

リュウガの二つ返事で同意してくれた事を嬉しく思い、満面の笑みを湛え
航海室へと足を向けた。

コン、コン、コン、コン
「○○です。シンさん居ますか?入りますよ。」
「何の用だ?今、忙しいから向こうへ行け!」

一生懸命に海図を引くシン。その横顔に見惚れていると
「何を見ている、邪魔だ。出て行け!」
「す、スイマセンでした。」
慌てて出て行こうとした○○の背中にシンは、淡々とした口調で
「少しだけなら話を聞いてやってもいいがどうする?」
クルっと向きを変えた○○が恐る恐るお年玉の事を話した。
「俺がトワに渡す理由も無いけどな。まぁ、考えておいてやるよ。」

シンからは確約が取れなかったものの、考えておいてくれるので良しとしようと
思う○○が次に向かった場所は、手伝いを兼ねて厨房に向かった。

「ナギさん、お手伝いに来ました。」
勢いよく厨房のドアを開け、○○が元気な声が厨房中に響いた。

「おぅ、お前えらい機嫌いいんだな。何かあったか?」
「ナギさん、もうすぐお正月ですよね。」
「食いもんのリクエストか?」
「違いますよ。あのね・・・」

ナギにもお年玉の話をすると快く承諾してくれた。
「そうだな、トワは何事も手を抜く事無く頑張っているからな。いいだろう。
 その話、乗った。」
「ありがとうございます。ナギさん。」
「手伝いだが、まだ、いいから。後、ハヤテのとこ行くんだろう。先に行ってこい。」
「じゃー、行ってきますね。」

(みんな協力してくれてうれしいな・・・トワくんの喜ぶ顔を楽しみだな。)

○○は、スキップしながらハヤテの部屋へ向かった。

コン、コン、コン、コン
「ハヤテさん、居ます?」
「○○か?入ってもいいぜ」
「失礼します。ってハヤテさん何してるんですか?」
「もうすぐ正月だろう、ナギ兄に料理のリクエストしようと思って書き出してんの。」
「ふーん、それよりね・・・」

ハヤテにお年玉の話をすると案の定の答えが返ってきた。

「ずっけー、何でトワだけなんだ!」
「だからお年玉は、18歳ぐらいまでしか貰えないの!だからね、ハヤテさんは
 20歳でしょ、だから貰えないの。」
「俺は、ヤダ!そんなのには協力しねぇーからな。」
「分かりました。話しはしましたからね。」

○○は、ハヤテの部屋に行く前の顔と出てきてからの顔つきが違い
不機嫌のまま、ソウシの待つ部屋へと戻って行った。

「○○ちゃん、どうしたの?何かあった?」
「ソウシさん・・・」
「どうしたの?○○ちゃん、話して」
「ソウシさん、お年玉の話をハヤテさんにしたんだけど・・・」

ハヤテとのいきさつを悔しさ滲ませ一生懸命に話す○○にソウシは
「ハヤテの事のだよ。大丈夫。たぶん、違った形で用意すると思うよ。」
「そうでしょうか?せっかくみんなが協力してくれたのに・・・みんなが
 トワくんに渡してハヤテさんだけ何もしなかったら・・・ハヤテさんの事を
 みんながからかうでしょ?それを聞くのも見るのも遣る瀬無いの・・・」
「○○ちゃんは、優しいね。ハヤテには私から話ししてみるから安心してね。」

チュッと頬にキスをすると真っ赤になった顔でソウシを見た。

「ハヤテさんの事、お願いしますね。」
そう言い残すと部屋を後にした。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ