拍手話

□髪を切った日
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突然バッサリと髪を短く切ってきた○○にハヤテがうろたえた。

「おっ、お前・・・な、何で・・・」

「ん?似合わない?ハヤテ?」

「何で切っちまったんだよ!女は、友達なんだろ?その・・・髪と・・・」

「へっ、ハヤテ・・・それって・・・シャンプーの広告の見すぎじゃないの。」

「んなわけねぇだろ!せっかくのキレイな髪だったのによぉー」

少し顔を赤らめてソッポを向くハヤテだったが○○は、お構いなしに「だって暑かったんだもん!」と言い、ハヤテが『かわいい』とか『似合ってる』とか言ってくれないので○○は、落ち込みながら部屋から出て行った。

(ハヤテのバカ!短いなりに似合っていると思ったのに・・・何も言ってくれないなんて!)

ショックを受けながら廊下を歩き、甲板に上がれば、○○の姿に気付いたソウシとトワが○○の所までやってきた。

「○○ちゃん、髪、切ってきたの。ボーイッシュでカワイイよ。ロングでもショートでも○○ちゃんは、どんな髪型にしてもカワイイよ。」

「○○さん、暑いから切ったんですか?よく、似合っていますよ。それにカワイイです。」

「ソウシさん、トワくん、ありがとう。」

「ハヤテも惚れ直したんじゃない?」

「・・・それが・・全然なんです。何か気に入らないみたいで・・・」

落ち込みながら話す○○にソウシは、頭を撫でると

「ハヤテは、照れているだけだよ。カワイイって思っているはずだよ。」

「そうですよ。○○さん、ハヤテさんに黙って髪の毛、切った事に拗ねているだけですよ。」

「黙って切っちゃったの?○○ちゃん。」

「は、はい。ハヤテをビックリさせようと思って・・・」

「男ってロングヘアーが好きだからね。ハヤテ、○○ちゃんの髪、気に入ってからね。」

「えっ、そうなんですか?私、知りませんでした。」

ビックリした表情で見上げる○○にソウシが小声で「ハヤテがこっちを睨んでいるから行くね。」と言い、トワと一緒に立ち去るとハヤテが○○を後ろから抱きしめた。

「・・・悪りぃ・・・そ、その・・・似合ってるし・・・カワイイ・・・」

「ありがとう。何も言ってくれなかったから・・・」

「あのな、俺、お前の長い髪が好きなんだ。シルクのような肌触りで心地よかったし・・・風に靡いた時のお前の・・・その・・・横顔が・・・キレイだったから・・・」

「・・・ハヤテ・・・ゴメンね。黙って切っちゃって・・・」

「そうだぞ!今度から切る時は言え!俺が切ってやる!ここまで短く切って欲しくねぇから!」

ハヤテが○○の腰を抱いていた手が○○の髪を撫で付けた。

「うふふ、ありがとう。ハヤテ。髪、すぐ伸びるよ。」

「早く伸びる薬、ソウシさんに作って貰うか?」

「えっ、いいよ。ソウシさんに悪いし。」

「ヘンに作ってもらって逆にハゲたら困るもんなっ。」

ハヤテと○○が顔を合わせて笑いながら沈みゆく夕日をいつまでも見つめていた。

甲板の片隅で二人の会話を聞いていたソウシの目がキラリと光り、ほくそ笑んでいた事にハヤテと○○は気付きもしなかった。



end

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