アメブロにて @

□大好きな人
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クローゼットの整理をしていたら奥から初めて見る木箱が出てきた。
シンさんのかな。見ちゃいけないって解ってたけど好奇心が勝ってしまい
自然と手が動いていた。
木箱を開けてみると中から航海日誌が出てきた。
日付を見てみるとちょうど私が乗船した頃からの日誌だった。

日誌を手に取ると船内作業や物資補給の内容、天気、針路等細かく記していた。
その他の欄に私の事が書かれていた。
『樽に入って運ばれたドンくさい女。やっかいな事に俺と同室。早く下船させる方法を考えなければ。』云々。
こんな内容が幾日も続いていた。

私が部屋で時間が経つのも忘れ、日誌を読みふけっている頃、
シンは、航海室で○○が乗船して数日経った頃から付けていた日記を読んでいた。
日記は、B5サイズぐらいのスケッチブックでその日の出来事、シンの事、
シリウス号の絵や各船内の様子の絵等が添えられていた。

『最初は、コワイって思っていたシンさんだけど本当は、優しい人。こんなお兄ちゃんが欲しいな。』云々。
最初の頃は、お兄ちゃん的存在だったシン。それが淡い恋心に移りいく内容に
シンは、頬を赤らめながら読んでいた。

お互い、離れた部屋でそれぞれの思いを綴った内容を読み、同じように顔を青ざめたり
赤らめたりしていた。

空が茜色に染まっていく頃、お互い、最後のページに目を通していた。
そこには、二人同じ事が書かれていた。

『この広い世界、心から信頼できる愛おしい存在。
同じ時代に生まれてきてくれてありがとう。
樽で運ばれ、再開し恋した事が運命付けられてたのかも知れない。』

end

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