船医 ソウシ

□約束
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めずらしい人物がシリウス号へとやって来ていた。

その人物とは以前、ソウシと飲み比べをしたヴェガ海賊団の女船長ミレイだ。

朝早くにリュウガの部屋へ入ったきり一向に出てくる気配がない。

何の相談事なのか検討もつかず、もしかして部屋でミレイと・・・って考えると
無闇矢鱈に部屋へ近づくこともできず、刻々と時間だけが過ぎてゆく。


ミレイは、ちょくちょくとリカー号を追い掛け回しロイが困っていると
聞いた事があり、リュウガ、ロイ、ミレイは古くからの知り合いで昔は、よく一緒に飲んだ仲でもあった。

「○○、ミレイがドクターをヴェガに乗せたいって船長に交渉してるんじゃないか。」
「・・・」
「シン、憶測でそんな事言わないの!」
「はい、わかりましたよ。それにしても長居しすぎでしょ。ドクター、知りませんか?」
「私は、何も知らないよ。」
そんな話しをしているとガチャっと船長室の扉が開いた。

「ソウシ、ちょっと来い。」
リュウガがソウシを呼びつけているのを聞き、○○は先ほどシンの言っていた事を
思い出していた。
○○がそっとソウシの顔を見上げると
「○○ちゃん、どうしたの?」
「い、いえ・・・」
「君の考えてる通りじゃないと思うよ。」
ソウシが○○の頭を撫でるとリュウガとミレイが待つ船長室へと入って行った。

ソウシが船長室へ入ってかれこれ数時間経つ。
○○が不安げに甲板を行ったり来たり。そんな姿をクルー達は遠目で見守っていた。


(シンさんが言うようにソウシさん、ミレイ船長の所に行っちゃうのかな・・・)


悪い考えが頭の中を駆け巡り、居ても立っても居られず、ついに船長室へ向かって
駆け出して行った。

船長室の前に着いてもノックも出来ずに一人佇む○○。

その後姿を眺めていたシンが変わりに船長室をノックした。

「船長、このままでは嵐が来ます。早急に針路の変更をしたいんですが・・・」
シンがドアを開けた瞬間、3人が一斉に振り向いた。
「どうした、シン?」
「船長、嵐が来ます。回避するには大幅な針路変更を」
「シン、お前に任せる。ミレイ、嵐が来るそうだ、この話しは後日って事でどうだ?」
「あぁ、わかった。ソウシ、いい返事を期待している。リュウガ、長居してすまなかった。」
ミレイが船に戻るとシンは、舵をきり針路を変えた。
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