船医 ソウシ
□無意識の誘惑
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ソウシが見張り番の日、必ず○○は医務室から医学書を持ち出して
一人、黙々と目を通している。
少しでも『ソウシの役に立ちたい』と言う○○の強い思いから
ソウシが見張り番の夜や街に往診に行っていない時などを狙って読んでいる。
医学書に目を通したからと言ってすぐにソウシみたいに医者にはなれないが、
シリウスのみんなが病気や怪我などをした時に少しでもソウシに負担が掛からないように
○○が代わって出来る程度には、知識を頭に詰め込んでおきたいと思い
ソウシには内緒でコツコツと勉強していた。
医学用語以外に意味が分からない時などは、シンに聞いたりもしていた。
「○○ちゃん、暖かくして早めに休みなさい。今日は、見張り番だから側に居てあげられなくてゴメンね。薬飲んでグッスリ寝れば、
すぐに良くなるからね。」
少し熱っぽい○○にソウシは、そっと頭を撫で額にチュッとキスをすると
部屋から出て行った。
暫くして○○は、薬を飲み終えてからそぉーっと部屋を抜け出し医務室に入ると
目的の医学書を手に取り、素早く部屋に戻ってベッドに寝転んで続きから読み出した。
ソウシの言いつけを守らずに遅くまで医学書を読んでいた○○が知らぬ間に本を広げた
まま、ウトウトと眠ってしまっていた。