船医 ソウシ

□特別な宴
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今日の満月の宴は、いつもより豪華になるらしい。
なぜなら、ソウシと○○の婚約を祝うからだ。

朝からナギは、料理の下準備で大忙しで○○も懸命に手伝っていた。

「悪りぃな○○。自分の婚約の祝いだってぇのに手伝わせてしまって。」

「いいえ、ナギさん。そんなに気を遣わないで下さい。花嫁修行と思えば何て事無いですよ。」

「そうか。ありがとな。○○、ドクターと幸せになれよ。」

「・・・ナギさん・・・ありがとうございます。」

ナギから祝福の言葉を貰い、○○の瞳が潤み、ペコリと頭を下げた。


順調に料理が進み、ナギから「もう、ここは大丈夫だ。」と告げられ、○○は、次に宴の席を作るべく、倉庫へと降りて行った。

倉庫に入ると薪等必要な物を倉庫の入り口に纏め、後は、酒樽と酒ビンをどのようにして運ぶかだ。

どうしても酒樽を甲板へと運ぶのは、到底、無理と判断した○○は、木箱に入った酒ビンなら大丈夫だろうと思い、足腰、踏ん張って持ち上げようとした時、“グキ”っとイヤな感触がした。

「あっ・・・イタタ・・・」

○○が腰に手を当て上体を起そうとすれば、ズッキーンと腰に痛みが走り急に力が抜け床に這いつくばった。

(ま、まさか・・・ギックリ腰?う、うそ!ど、どうしよう・・・せっかくの宴が・・・)

何とか立ち上がろうと試みるが腰に力が入らず、痛みだけが走り○○は、ホトホト困った。

(あっ、もしかしてヨガか何かのポーズで腰を解せば何とかなるかも・・・)

名案が浮かんだと思い、○○は、背中を仰け反らせ胸を突き出すようなポーズで腰を解そうとすればするほど腰に負担が掛かってしまい、痛みがさらに増した。

(まさか・・・余計に痛くなるなんて・・・立てたら何とかなるのに・・・)

痛みを堪え、何とか立ち上がろうとした時、倉庫の前をソウシが通りかかった。

「そ、ソウシさん・・・た、助けて・・・」

「ん、その声は、○○ちゃん?」

倉庫に入ってきたソウシは、○○が床に這いつくばっている姿を見て驚いた。

「どうしたの?」

「ソウシさん、あのね、これを持とうとして・・・あっ、イタタ・・・」

○○が指差した先には、酒ビンが入った木箱。

「○○ちゃん、どうして君は、そんな無茶をするの!女の子なんだから!こんな重たいのは、私達、男に任せなさい!」

「・・・はい。ごめんなさい。」

「立てる?」

「・・・いえ・・・」

ソウシは、ため息を吐くと○○を抱き上げ医務室へと運んだ。


希和さま 作



海に映る銀河
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