船医 ソウシ
□祈り
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突然の襲撃でいつものようにソウシからホラ貝を手渡された○○が見つからないように倉庫へと身を潜めた。
甲板で戦う武器の音や駆けずり回る足音が響いており、敵もなかなか手強い相手だと○○にも理解できた。
敵に見つからないように息を殺し、早く戦闘が終わるのを必死で祈っていると倉庫へ入ってくる数名の足音が○○の耳に届いた。
「女、どこだ?どこに隠れている!ケガしたくねぇなら出て来い!!」
男達が○○を探し、食糧が入った木箱を次から次へとひっくり返し散らかして行く。
「おい、お前ら酒類は、持って帰るぞ!割ったりするなよ!」
「へい!わかりやした。親分!」
親分と呼ばれた男が手下共に指示を出して手当たり次第、倉庫をめちゃくちゃにして行った。
「親分、倉庫には、いねぇんじゃねぇですか?」
「もっとよく探せ!必ず、ここに居るはずだ!」
「そうですかねぇ?」
「俺を信用しねぇのか?さっさと探せ!」
手下共が首を捻りながら戸棚などを倒し、高級な酒ビンが割れると怒号が飛び、○○は身震いしながら必死に息を殺した。
倉庫の奥の一角には、トワの部屋があり、男達はトワの物までめちゃくちゃに壊していく。
トワの部屋の飾り戸棚の中に身を潜める○○が見つかるのは、時間の問題だった。
「おい、やっぱり、ここには、いねぇのか?」
「親分が必ず、居ると言ってんだ。もっと探してみようぜ。」
「あぁ。」
再び、トワの部屋を物色し壊していると手下の一人が「この飾り戸棚で最後だ。」と発すれば、男達が戸棚の前にやってきた。
手下の一人が飾り戸棚に手を掛けた瞬間、一発の銃弾が男の手首に命中すれば、銃弾を追いかけるようにして鎖鎌が飛び、一瞬の内に男達は、鎖に巻き取られていた。
「俺の大事な食糧をよくも無駄にしてくれたな?」
料理人であるナギは、食糧が踏み躙られ、めちゃくちゃにされているのを目の当たりにしブチ切れた。
その横でシンは、親分と呼ばれる男と対峙していた。
いつの間にか○○が人質に取られ、親分から銃口を突きつけられている。
この飾り戸棚は、前後に扉があり、いち早く見つけた親分が○○を引っ張り出し拘束していたのだ。