船医 ソウシ

□すれ違い
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めずらしく○○が一人で医薬品や医療器具等を扱う店内で一つ一つ手にとっては首を振る
と言う動作を繰り返していた。

比較的治安も良いというので○○はリュウガに頼み、一人町に出ていた。
もちろん、恋人であるソウシに内緒で。

なぜ、内緒かと言えば、もうすぐ、ソウシの誕生日と言うこともあり、プレゼントを買いに出たのだ。

一方、その頃、ソウシは医務室での作業を終え、○○と一緒に町へ行こうと思い、○○の姿を探しに甲板の上へ来ていた。

キョロキョロと辺りを見渡しても○○の姿が見えなかったため、次に厨房へと足を向けた。


「ナギ、いるかい?」

厨房の扉を開き、中へ入るがナギの姿も○○の姿も無かった。

(どこへ行ったのかな?○○ちゃん。ナギと一緒に買出しかな?それともまさか一人で?)

ソウシの思いと裏腹に○○は、一人、プレゼント探しに奔走していた。


ソウシは、仕方なく一人、船を降り薬草等を買いに船を降り町へと向かった。


薬店を目指して歩みを進めるソウシの姿に気付いた○○が声を掛けようと近づこうとした時、○○より先に声を掛けた人物がいた。

「ソウシ!久しぶりね。元気そうで良かった。ねぇ、今夜、つきあってくれるでしょ?」

「いえ、悪いけど私には予定があって・・・」

「そんな事言わないでよ。ソウシ。あの日の時から忘れられなかったのよ。久々に会えたんだからお願いよ。もしかして私の事、忘れたの?あんなにも素敵な一夜を過ごしたのに」

「あなたは、確か・・・ミッドナイトのナタリーだったかな?」

「そうよ!覚えてくれたって事は、ソウシも私を忘れられなかったからでしょ?」

ナタリーがソウシの腕に身体を押し付け、ソウシの腰に腕を回した。
ソウシの耳元でナタリーが艶っぽい声音で「待っているから。必ず来てね。」と囁き、ソウシの後方にいる○○を見つめながらソウシの唇を奪った。

その時、ソウシの後方でガッシャーンとガラスが割れる音が響いた。

強烈なシーンを目の当たりにした○○がソウシへのプレゼントを落としていた。

振り返ったソウシが戸惑いの表情を見せ、ナタリーを見ていた○○が目を見開き、二人の横を走り抜けて行った。

すれ違いざま、ナタリーは○○に「ソウシは、私のよ。」と声を掛けた。


○○は、溢れる涙もそのままに町を走り抜けていた。

(今のは、何?あのキレイな女の人は、誰?ソウシさん、教えて!お願い・・・)


ソウシも何とかナタリーを振り切り、○○を探すべく町を駆けていた。
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