海賊王 リュウガ
□忘れられたバースディ
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酒の匂いをプンプンと撒き散らし夜が明ける頃に戻ったリュウガが自室の部屋のドアを開けた途端、部屋に置いてある色々な物がリュウガ目掛けて飛んできた。
「お、おい、止めろ!俺が何をした?お、落ち着け!」
リュウガは、飛んでくる物に当たらぬように右へ左へと身体を揺らした。
「船長!わかってないの?覚えてないの?」
「な、何がだ?何か約束したか?」
「もう!知らない!船長なんて!リュウガなんて!・・・キライ!!大嫌い!!」
○○が泣きながらリュウガの横をすり抜け、部屋から出て行った。
ドアが閉まる音を聞いてリュウガは、一気に酔いも醒め、慌てて○○の後を追いかけた。
「おい、○○、どこにいる?」
リュウガが大きな声でドカドカと走り甲板へとやって来たが誰一人おらず、何事かと見張り台から顔を出したシンにリュウガが気付いた。
「シン、○○知らねぇか?」
「知りませんよ。もしかしたら厨房じゃないですか?灯り点いているんで。」
「おぉ、わかった。ありがとうな。」
スタスタと厨房に足を向けるリュウガにシンが足元に蹲っている○○に声を掛けた。
「行ったぞ。いつまで隠れている気だ?」
「ごめんなさい。もう少しだけ。」
「どうしたんだ?何があった?」
「シンさんに言ったら下らんって言われそうです。」
「聞いてやる。」
「・・・あのね・・・」
シンが○○の話をじっくり聞いた所によると昨日は、○○の誕生日だったらしく敢えてみんなでパーティを行わず、リュウガと二人で祝おうと約束をしていたとのこと。
それなのにリュウガは、すっかりど忘れしていたのか・・・いつものように一人、船を降りて行き、先ほど帰って来たという。
さすがのシンも○○に同情した。
「1日遅れだが今日、みんなで祝ってやる。」
「・・・ううん、いいよ。今の・・・忘れて・・・ありがとう。シンさん。」
○○が膝を抱えて背中を丸めた。