料理人 ナギ

□月1だけのお願い
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急激な吐き気と腹痛で目が覚めた○○が隣で眠っている恋人を起こさないようにゆっくりと身体を起こしカレンダーに目をやれば、月の物が来る日だった。

このままだとパジャマやシーツ等を汚してしまうと思い、そっとベッドから抜け出し、クローゼットの奥から女の子用品を掴み、トイレへと飛んで行った。

○○が部屋を出た音に気付いたナギは、クローゼットが開けっ放しになっており女の子用品が見えおり、ナギは、○○に月の物が訪れた事を察知した。

ナギが○○の為の食事をどうしようか思案している時に部屋のドアが開き、○○がトイレから戻って来た。

「あっ、ナギ。ゴメンね。起こしちゃった?」

「イヤ、たまたま目が覚めただけだ。気にするな。それより、お前は大丈夫なのか?」

「えっ・・・だ、大丈夫だよ。」

「ふーん、クローゼットも閉めないままトイレに行く人間がか?」

「あっ!」

○○が開けっ放しのクローゼットを閉めるために手を掛けた時に女の子用品が見えているのに気づいた。

「な、ナギ?そ、その・・・」

「別に隠す必要ねぇだろ。カレンダー見りゃわかる事だしな。」

「何で?何でわかるの?」

「日にちの下の丸。どう見てもそうだろう。」

「は、恥ずかしい。もう、書かない。」

「女なら当たり前の事じゃねぇか。それに1週間ばかし俺がガマンすれば良いことだしな。」

ニタっと笑うナギに○○は、一気に顔を真っ赤にさせた。

「アハハ、ゆでタコみてぇ。」

「もっ、もうナギのせいでしょ!!知らない!」

「○○、悪かった。で、身体は大丈夫なのか?気分悪くねぇのか?」

「うん、さっきまでは吐き気と腹痛があったけど・・・何か治まったみたい。」

「ならいい。朝飯、ヤマト料理の方がいいな?」

「ゴメン、ナギ。ご飯よりパンが食べたい。」

○○から珍しく自分が食べたい物をリクエストしてくる事にナギは、内心嬉しくなった。

「なぁ、そういう時ってあっさりしたもん、食いたいんじゃねぇのか?」

「うーん、人にもよるんだけど・・・私ね、妊婦さんじゃないけど・・・この時期ってお米の炊く匂いやご飯の匂いだけで吐き気がヒドクなるの。だから・・・バターもジャムも何も付けないパンが食べたいの。」

「そうか。卵とかは?後、他には?」

「いらない。あっさりしたスープとパンがあれば何もいらない。とにかくパンが食べたいの。」

「わかった。まだ、仕込まで時間あるから横になっとけ。」

「私、目、覚めちゃったよ。」

「眠らなくったって目を瞑って横になるだけでも身体、楽になるだろ。」

ナギが○○を抱き上げ、ベッドに横たえればナギも寄り添うように横になった。

「○○、朝の仕込みは手伝わなくていいからな。ゆっくり寝てろ。」

「ナギ、そんなの悪いよ。手伝わせて。」

「そ、その何だ・・・聞いた話だが・・・最初の2、3日は身体キツイんだろ?ムリするな。」

「そんな事、誰に聞いたの?ま、まさか・・・」

「んなじゃねぇよ。ドクターから聞いたんだ。お前が船に乗った時にな。」

「えっ!ソウシさんが・・・」

「あぁ、女と同室だしな、その・・・月1回の話しも聞いた。ドクターがそういう時は労わってやれって・・・」

「だからナギ、私が・・・その・・・それの時期の時は、手伝わなくていいって言ってくれたんだね。ありがとう。」

○○がナギの腕に腕を絡ませてそっと目を閉じた。

ナギは、とりあえず○○の食べたい料理を作ってやるつもりだったが・・・貧血防止のメニューや身体に良いメニューを頭の中にあるレシピを捲った。

今日から○○だけの特別メニューを1週間分考えるナギは、みんなからの冷やかしや追及があるのを覚悟した日だった。





end

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