料理人 ナギ

□突然の雨
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シリウスに乗って約2週間が過ぎた頃、お宝探しのため、とある島に停泊した。

無人島だということでリュウガから「○○も同行。一人船に残す方が心配だ。」と言い
ピクニック気分で○○は、島に降り立った。

前の港でソウシから着替えや日用品に至るまで用意してもらい、リュックを背負っての出て立ちだ。

一番最後に船から降りてきたナギの背中には、大きなリュックにタスキ掛けされた袋を持っており、それに気付いた○○がナギに駆け寄った。

「ナギさん、荷物、持ちます。」

「あぁん、女はすっこんでろ!」

ギロリと○○を睨むナギに○○は「重いでしょ、持ちます。」と喚けば
「キャンキャンとウルサイ!さっさとどけ!」
スタスタとナギが歩いて行き、○○は、その後姿を見つめる事がしかできなかった。

その様子を遠目で見ていたソウシが駆け寄り
「○○ちゃん、ナギは、女の子に重たい荷物を持たせたくなかったんだと思うよ。気にしないで。さぁ、行こう。」

「はい。」

シュンとしていた○○は、ソウシに即されジャングルの中に足を踏み入れた。

山育ちのナギが先頭を務め、その後ろをみんなが付いていく。

ジャングルを歩き慣れない○○は、次第に遅れを取り始め、知らぬ間に一番最後を歩く羽目になってしまっていた。

最後尾を歩く○○が気付いた時には、自分の視界からシリウスメンバーが消えていた。

(えっ、どうしよう。置いていかれた?今、引き返したら船に戻れるかな?)

○○が前に進むか引き返すか思案していると急に雨が降り出した。

慌てて大きな木の下に入り、少しでも雨を凌ぐように樹に背中を預け胸にリュックを抱えた。

次第に雨足が強くなり遠くで雷鳴が轟き、○○が不安で仕方なく俯き、溢れる涙が雨と一緒に地面に吸い込まれていった。

雨音と共にガサゴソと草を掻き分ける音がしたと気付いた時、大きな身体が○○を包み込むようにして立つ人物を見て○○は、ハッと息を飲んだ。


ムーンさま作



月のしずく


「お前なぁ、遅れた時、何で呼ばなかった!」

「・・・」

荷物を置いてきたのか身軽になったナギがずぶ濡れになり○○を少しでも濡れないようにしてくれている姿に言葉が出てこなかった。

「聞いてんのか?」

「ご、ごめんなさい。ちょっとビックリして。」

「南国特有のスコールだ。すぐに止む。止んだらみんなと合流するぞ。」

大きな身体で傘の変わりになってくれているナギの姿を見て淡い恋心を抱いた瞬間だった。



end
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