中編&長編

□コーンフラワーブルー
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高温多湿の密林の中を宝の地図に記された今まだ眠るお宝を求め、彷徨っているシリウスの一行達。

この無人島までは、一流航海士でないと辿りつけないと言われている島だ。

シリウスを預かるシンにとってみれば、赤子の腕をねじるぐらい、簡単な海域。
現にシリウス号は、奇跡的にどこも破損せず、この島に船を寄せたのだ。


船から降り、ジャングルの中を彷徨い始めて、早3日。
目的の場所まで後どれぐらい掛かるのかリュウガをはじめ、他の海賊達も検討がつかない。

背の高い木々が鬱蒼と茂っており、昼間でさえ、地上に陽が届くこともない状況で昼夜の区別もつかないほどだ。

山やジャングルに精通なナギが先頭を歩き、なるべく、みんなが歩き易いように道を作っていく。

徐々に肌に触れる空気が冷たくなっていき、夜が来たことを物語っている。

いち早く気付いたナギが立ち止まり、「・・・野営だな。」とポツリと発し、リュウガが頷くとみんなが一斉に野営の準備に入った。

○○もシリウスに乗って色々な場所へ行き、野営も体験してきたが、今回のように長丁場の宝探しは、初めてだ。

「おい、○○。おめぇは、あまりウロウロするな。」

「はい、リュウガ船長、わかりました。他に私が出来ることありますか?」

「おめぇは・・・そうだな・・・トワと一緒に薪でも集めろ!トワ!○○と一緒に薪を拾え!ただし、俺の視界に入る範囲でだ!」

「「はい!わかりました!」」

○○がトワの後に続き、薪を集め始め、ナギとハヤテが食糧を調達しにジャングルの中を歩き回っている。

もちろん、どこにいるか合図を送りながらだ。

シンがテントを張り、ソウシが川の水を求め、ジャングルの中へ入っていき、リュウガは、○○とトワを視界に入れながら周辺の様子を探っている。

磁石さえも効かない島ゆえ、何がおきても不思議ではない。


○○とトワ拾い集めた薪にシンが火を熾し、薄っすらと周辺を明るく照らし出す。

火を熾したと同時にナギとハヤテが食糧を抱え、戻って来た。

大きいイノシシを捕獲したナギは、○○の手前、すでに捌いて後は、調理するのみになっていた。

ナギが手早く料理を仕上げ、夕飯を食べ終える頃には、梟が鳴き始め、木々に木霊し、一段と空気が冷え込んできた。

○○が火の前でガタガタと震えている。

「・・・大丈夫か?」

「うん、大丈夫です。ちょっと疲れただけですから。」

「その割には、震えてるじゃねぇか。さっさとテント入って休め。明日も一日中歩くぞ。」

「・・・はい。先に休ませて貰いますね。おやすみなさい。」

○○がテントに入り、残った海賊達は、交代での見張りの順を手早く決めていき、短いようで長い夜が始まった。
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