Request & Memorial
□Cherry blossom
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下校中、俺は桜を見てふと立ち止まった。
ああ、そんな事言ってたな。
俺の数少ない母から教えてもらった事だった。
昔は俺とは無縁の事だと思っていたが、今は痛いほど身に染みると同時に、俺の恋も儚く散っていくのかな、と思う。
結婚は出来るが、そのうち好きな女が出来るんじゃないか、と思うからだ。
勿論、そのときは彼奴の幸せを優先したい。
何故なら、彼奴を愛してるから。
彼奴の幸せを一番に願っているから。
「桜、好きなの?」
そんな事を考えていたら、いつの間にか彼奴が横に立って、俺を見ていた。
「…いや、好きじゃねぇ。」
儚く散っていくなんて、好きになれるわけが無い。
「僕もだよ。あの変態保険医と南国果実のお陰でね。」
そう言うと、でも、桜も悪くない、と付け足した。
「分からないみたいだから1つだけ良い事教えてあげるよ。桜は一生枯れる事は無い。」
「どういう意味だよ?」
「要するに、一生僕の君への想いは枯れないって事。忘れないようにね。」
ギュッ
「ーありがとう、雲雀。」
END