テニスの王子様 Short

□Annular eclipse
1ページ/2ページ

「明日って金環日食だよね。」



「ああ、そうだな。」



「蓮二や赤也達と見る予定なんだけど、真田も一緒に見ない?」



「幸村がいいなら俺は構わないが。」



「じゃあ一緒に見よう。7時20分ぴったりに校門前だよ。」



「?わかった。」



…とは言ったものの、ぴったりに、とはどういう意味だろう。

俺自身、金環日食には興味は無かったが、幸村と共に過ごしたいと思ったから受けた話だ。

ぴったりに、が気になる点ではあるが、気にしない事にした。

俺は明日の荷物の準備をしながら、昔祖父から聞いた話を思い出した。

確か、日食は肉眼で見てはいけない、という話だった。

蓮二の事だから用意周到だとは思うが、念のため、遮光板を持っていく事にした。





翌朝俺は、幸村に言われた通り、7時20分ぴったりに校門前に着いた。そこには既に幸村がいた。



「おはよう、真田。」



「ああ、おはよう、幸村。」



「屋上の方が見やすいから、屋上に行こう。」



そう言われて俺は幸村と屋上に向かう。



「なぁ、真田。今日、何の日か覚えてる?」



「金環日食の日では無いのか?」



「まぁ、そうなんだけど、それ以外に特別な日。」



「それ以外でか?」



俺が首を傾げながら歩いていると、屋上への扉が開いたと同時に、前方から聞き慣れた声がした。



「「「「「「誕生日おめでとう(ございます)、真田(副部長)(弦一郎)!!」」」」」」



これか、幸村が言っている特別な日は。

正直、自分でも忘れていた。元来、誕生日などの記念日に特別何かをしようという性格では無いので、あまり意識していない。



「おめでとうございます、副部長!!」



「また老けたんじゃの、真田。」



「おめでとうございます。」



「盛大に祝ってやるぜぃ、ジャッカルが!!」



「また俺かよっ!!でも祝うのは俺だけじゃねぇぜ。」



「細やかだが、俺達からのプレゼントだ。受け取ってくれ。」



蓮二から赤いリボンがかかった箱を渡された。

あまり意識していないので、家族以外の他人に祝われる、というのがとても新鮮に感じる。

増してやプレゼントなど、以ての外だ。



「ありがとう。」



「開けたら?」



「ああ、そうする。」



俺は赤いリボンを引き抜き、箱を開けた。

すると、中には書のような物が入っていた。



「皆、いつも真田から書を貰ってるからね。今回は逆に皆から贈ろうって話になったんだ。」



「ありがとう。」



中には文字が汚くて読めない物もあったが、これも気にしない事にした。



「先輩達、日食始まっちゃいますよ!!」



「ほら、真田も見よう。」



「「待て、鞄から遮光板を出す。」」



「…と、弦一郎が言う確率、100%。」



「…。」



「遮光板なら、俺が用意してある。ほら、弦一郎。使え。」



「すまない。」



遮光板から太陽を見ていると、日食が始まった。

俺が思っていたより、何倍も興奮するものだった。



「なぁ、真田。」



「ん?何だ?」



「金環日食って、指輪に見えるよね。」



「ああ、そうだな。」



「俺もあんな結婚指輪、真田から欲しいな。」



「っ!?ゆ、幸村?」



「真田以外からなんて欲しくない。」



まさかこんな時に言われるとは思ってなかった。



「真田?」



「…これはまた、最強の殺し文句だな。」



「ふふっ、嬉しいな。愛してるよ、真田。」



「俺もだ、幸村。」



「…先輩達、あの二人、完璧に自分達の世界に入っちゃいましたよ。いいんスか?放って置いて。」



「あの二人ならもう放って置いていいだろう。」



「プリッ。」



また殺し文句を聞きたいから、俺はずっと幸村が側にいる事を望む。


END
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ


©フォレストページ