短編

□貪リ喰ウハ愛故ニ
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ウチはアンタが好き。
どれくらい好きかって言うと"愛してる"なんてたかが四文字の言葉じゃ言い表せないほどアンタが好き。(もちろん"好き"の二文字じゃ足りなすぎる)
それをアンタに話したら、アンタは笑って「私もスパナのこと好きだよ」って言ってくれたよね。
ウチはそれが堪らなく嬉しかった。機械の冷たさとオイルの匂いしか知らないウチを好きだと言ってくれたことが本当に嬉しくて仕方なかったんだ。
それからウチはもっとアンタのことが好きになった。仕事をしていても、ご飯を食べていても(元からあまり食べるほうじゃないけど)アンタのことで頭が一杯になった。

アンタは今何をしているんだろう?
アンタもウチを想ってくれてるのだろうか?
アンタに会いたい。
アンタが好き。愛してる。

ウチの全てはアンタで構成されていった。


なのに…。
ねぇ、何で?
何でアンタは他の男と楽しそうに笑うの?
何でウチ以外の男を見るの?
アンタはウチだけ見て、ウチだけを考えて、ウチだけに笑ってくればいいはずなのに…。
ねぇ、何でそうしてくれないの?
アンタを想っているのはウチだけでウチを想っているのはアンタだけでしょ?

声も、体も、指も、髪も、心も、その目に映す物だって全部ウチの物。
一つ残らず愛してる。
アンタはウチの物で、ウチはアンタの物。
誰にもやらない。
誰にだって渡さない。


誰かに奪われるぐらいなら、





ウチがアンタの全てを奪う。




「冷たくなったアンタも素敵だよ」




血に塗れた彼女はとても綺麗だった。





















【貪リ喰ウハ愛故ニ】

(生の殺しは嫌いだけど、アンタはそんなことなかったよ)


これは貴女を愛してるが故の行動なのです。




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