小説

□凍える体を抱き締めて
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オレにとってマーモンはクッションみたいなもん。何かの比喩とかそんなんじゃなくて、尻に敷いたり、枕にしたりする、あのクッション。流石にマーモンを尻に敷いたりは出来ないけど、あいつを抱えると結構気持ちいいんだ。ほら、あいつって赤ん坊じゃん?オレらより体温が高いから温まるのに調度いいし、ふにゃふにゃ、ぷにぷにしてて、抱き心地がいい。何つったけ?タスポ?ユタンポだったか?ジャッポーネでそう言われる道具に近いかもしんねぇ。王子にこんなにも必要にされるって名誉なことじゃね?
だけどマーモンはそんなオレを鬱陶しいやら、金払え(しかも一億)とか、終いにはセクハラだとか言い出しやがる。しし、王子に金せびるとかマジねぇし。しかも抱えるだけで一億ってケチにも程があんだろ。金の亡者っていうか質の悪い悪徳商売士だし。っていうかお前みたいな赤ん坊に誰が欲情するか。オレはレヴィーみたいな変態じゃねぇし。

ま、ケチで、金の亡者で、性悪で、全然可愛くない赤ん坊だけど、マーモンはオレのお気に入りのクッションに違いない。
最悪なお前だけど王子のお気に入りなんだぜ。
マジ、お前幸せだし。




なのに、

なぁ、何勝手に死んでんだよ。王子の許可無しに何勝手に壊されてんだよ。ノン・トゥリニセッテ?アルコバレーノの呪い?そんなもの王子に関係ねぇし。最強の赤ん坊だったらいつもの幻術とか気合いとかで何とかしろよ。
マジありえねぇし。
マジ意味分かんねぇし。
お前以上のクッション探しても何処にも無いんだぜ?
オレは何で暖をとればいいんだよ。
マジ最悪だし。




「冷たくなったお前じゃ、意味ねぇし」




オレの体は冷えていくばかりだった。

















【凍える体を抱き締めて】

(しし、王子が凍え死んだらどうしてくれんだよ)


いっそのこと死んでしまいたい




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