シリーズ

□雀呂逆トリ2
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神様の悪戯か、それとも悪魔がくれたかなり早いクリスマスプレゼントかは分からないけど、ひょんなことから人気コミック「最遊記」の登場人物である"雀呂"と一つ屋根の下で暮らし始めた私。
最初は犬の方がマシだとか、面倒臭いとか言ってたけど訂正します。

うちの雀呂はとても良い子です。




ピロピロピロピロピロ!!!




「うぉっ?!クッ、また貴様かケイタイ!毎度毎度俺様の安眠を妨害しおって!」

「ぐー」

「おい、起きろ!ダイガクに行く時間だろ!」

「うう…、今日は学校が爆破されたので休講にござ…る、ぐー」

「何を訳の分からんことを言っている!起きろ!ケイタイが鳴っているぞ!」

「うー、ねむいー」

「サッサと顔洗ってこい」

「燃えるゴミー」

「ゴミは俺が捨ててきてやる。貴様は目を覚まして仕度をしろ」


まだ半分夢の中にいる私を雀呂は半端担ぐ様に洗面所へ連行すると、昨日の内にまとめておいたゴミ袋を持って外へ出ていってしまった。
欠伸を一つついてから、言われた通りに顔を洗う。バシャバシャと何回か冷たい水で洗った所で私の意識はやっと機能しだした。
私はとてつもなく朝に弱い。特に冬の寒い朝なんて、寒さと眠気のダブルパンチで、学校に遅刻したり、ゴミを出し忘れたりしてよく悲しい思いをしていた。
ところがどっこい。雀呂が家に来てからこの一週間、毎朝グズる私を雀呂は根気よく、私に殴られようとも決して諦めることなく(いや、寝ぼけてたっていうか不可抗力ってやつ?)ちゃんと起こしてくれるので遅刻をすることがなくなった。しかもそれだけじゃなく、ゴミ出しに行ってくれたり、食器を洗ってくれたり、部屋を綺麗にしくれたり、洗濯物干してくれたり(まぁ、私の下着は恥ずかしいのか、干してくれないから自分で干すんだけど)と、もう女として私駄目だよね☆ってぐらい雀呂が私の代わりに家事をしてくれる。
機械の使い方ややり方を教えたのは私だけど、まさかここまで出来るとは思わなかった。
ただ、料理は出来ないみたいだけど(おにぎり握らせたら歪どころか、握り過ぎて米が糊になったからね)これだけ出来れば十分です。
雀呂様様って感じ。雀呂は独り言体質の頭の弱い妖怪じゃなくて、教えたこと、むしろそれ以上をしてくれるとってもお利口な妖怪でした。拾い主としてもとても鼻が高いです。

ま、唯一困ってることと言えば、



「あ!昨日私の取っておいたプリンがない!」

(ギクッ!)

「…雀呂さん?」

「きききき貴様が夜寝ぼけて食べたのであろう!お、おおお俺は別にトーニュー(※豆乳)プリンなんてもの食べてないぞ!」

「やっぱり雀呂さんが食べたんじゃん!」

「し、しまった?!クソっ、貴様図ったな!大体、貴様がすぐに食べないからいけないのだ!」

「人の分も食べておいて何が図っただこの野郎!乙女の楽しみを返せー!」


何故か逆ギレして怒鳴ってきた雀呂に、私はそれを上回るぐらいの大声(むしろ泣き声)で怒鳴り返した。
そう、唯一の困っていることとは雀呂の「盗み食い」だ。しかも乙女の活力とも言えるデザートの盗み食いっ!
どうやら以前私が買ってきたデザート(ちょっと名の知れた所のプリンだったかな)を食べた所、エラく気に入ったらしく、それから私が甘いものを買ってくると隠れて食べるという大罪を犯す様になってしまった。もちろん私はちゃんと雀呂の分も買ってきてあげている。な、の、に、この男は私の分まで手を出すのだ!
クソっ!冷蔵庫の奥深くに隠しておいたのに!お前は犬か、名犬ラ●シーか!あそこのプリン高いんだぞ!すげぇ、楽しみにしてたんだぞこの野郎!
あまりのショックにグスグスと泣いていると、雀呂は少し慌てたらしく、オロオロとしだした。


「そ、その、すまない」

「……」

「…すまない」


シュンと本当に申し訳なさそうに謝ってくる雀呂を私はチラリと横目で捕らえた。
怒られてヘコむなんて本当に犬みたいだ。

でも、



「罰として、私の下着も洗濯してください」

「な、何?!」

「そしたら許してあげます」

「…ッ!わ、分かった」



真っ赤な顔でもちゃんと頷く雀呂を見てると、犬よりも雀呂の方がイイ子なのかもしれないと思ってる私はかなり親バカだなと他人事の様に思った。

(っていうかからかい甲斐があるから犬より雀呂の方が良い)


















【快適な日常】

(そういえば、貴様ダイガクは行かなくていいのか?)
(え?うわー!遅刻だぁああ!)



隣近所様に自慢しようか?




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