シリーズ

□雀呂逆トリ5
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大学生は自由な時間が一番多いとか言われてるらしいけど、そんなの都市伝説に過ぎない。
卒業単位を取得するために毎日朝早くから電車に揺られて学校へ行き、学校が終わり次第バイトに向かう。そしてその疲れた体で向かうのはふかふかのベッドではなく、出された課題を処理するパソコンの前に座る日々。自由って美味しいの?って感じだよ。
少なくとも今の私には寝る時間さえもない。










「終わらない…。終わりが見えない…。あとこれだけなのに終わりが見えないよ」


目の前に映し出される画面は眩しいぐらい綺麗な白。ここ最近パソコンと睨めっこしてこの課題に取組んでいたのだが、最後の部分がどうにも書くことが出来ず、私は半端死人と化していた。
時刻は午前二時。
この課題は朝一の提出であるため印刷する時間などを考えると七時までには仕上げなくてはいけない。否、学校へ行く準備なども換算すると実質六時には完成させないと間に合わない。のに最後の部分が上手くいかない。こうしてる間にも刻々と時間は過ぎていく。
何故だ。何故最後でつまずく…。これが終わればベッドにダイブして夢の国へノンストップ出来るのに。降りてこい!何でもいいから、最後の部分を書き上げてくれ!
もうお手上げ状態の私は何かに祈るかの様に、パソコンの前に突っ伏すしかなかった。


「…もう、諦めて寝ればいいだろう」

「…ここまで来たら書き上げます」

「妙な所で貴様は頑固だな」

「っていうか、雀呂さんは寝てください。もう二時過ぎてますよ」


呆れた様子で私を見やる雀呂。実はこんな時間まで起きているのは私だけでなく、何故か雀呂もまた一緒に起きていた。しかも何か目的があって起きてる訳ではなく、コーヒーを煎れて飲んでたり、私の周りに散乱してる資料をつまらなそうに見たり、たまに私に話し掛けてきたり、と明らかに意味もなく起きていた。
どうしたんだろう?いつもならもう寝てるのに。
妖怪って夜行性だったけ?でもいくら妖怪だからと言っても、やっぱりこんな時間まで起きてるのは体に良くない気がする。


「雀呂さん寝てくださいって。体に良くないですよ」

「ふん、俺様を貴様ら脆弱な人間と一緒にするな。こんなことで体を壊すなどありえん」

「でもですねー」

「しつこいぞ。俺様の心配をしてる暇があるなら、とっととソレを終わらせて寝ろ」


そう思って私は重たい頭を上げて、寝るよう言ってるのに、雀呂は頑なに寝ようとしなかった。
っていうか、人が心配して言ってるってのにその言い方は何だ!私だって終わらせて寝たいよ!さっきから「まだやるのか」、「まだ寝ないのか」、「もう寝たらどうだ」とか言ってさ!学生には学生なりの事情ってものが、って…。


アレ?


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