BSB
□運命と呼ぶには大袈裟で
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母さんが笑いながら言ってた。
「高校の友達は付き合いが長くなる」
その話を横から聞いてたクソあ…二つ上の兄貴もそうかもしんねぇって笑ってた気がする。
そん時の俺はあまりその話を信じていなかった。
だって、中学で一番仲良かった奴とも違う高校に進学してから一切連絡とってない。だからなのか名前こそ忘れてないが、どんな風に名前を書くかとかそういう細かい部分は徐々に忘れてきている。
あんなにも一緒にいた友達でさえ忘れてしまう俺が薄情で鳥頭だからなのかもしれない。そもそも友達という存在自体、いつ出来たのか分からないし。
だけど、
「ゆうちゃーん」
「んあ?」
「ゆうちゃんなら卒業してもずっと覚えてられる自信あるよ」
「俺は忘れる」
そう悪戯っぽく笑いながら言う親友のことは俺の頭でもずっと覚えてられる気がした。
【運命と呼ぶには大袈裟で】
(ひでー!ゆうちゃんなんか!ゆうちゃんなんかー!)
(うそうそ。これやるから機嫌直せって)
(わーい、お菓子だー!ゆうちゃん大好きー!)
(…単純過ぎじゃね?)
証拠はない
でもそうなる確信はある