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断固反対は兄心
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俺には二つ違いの兄妹がいる。
っていうか俺には目に入れても痛くない、むしろ喜んで目に入れちゃうぐらい可愛い、本当にすげぇ可愛い史佳っていう妹がいる。
何が可愛いって、同級生の間ではクールビューティーで通ってるのに家では花の様な笑顔…、否、マジで周りに花が咲いてるのが見えるな。そんな感じでにこにこと笑う所とか(機嫌悪い時は纏ってる空気自体恐いけど)、しっかりしてる様に見えて地下鉄で寝過ごして一周回っちゃう天然な所とか、寝ぼけて壁に頭をぶつけてたりとか、もうギャップ萌えって言うの?とにかく書ききれないぐらい可愛い所満載な訳ですよ、俺の妹は。

そんな俺の大事な妹に異変が起こりました。



「ゆうまさんって彼女いるのかな…」



その言葉に俺はフリーズ。
全機能が緊急停止したから、三杯目のご飯を盛ったお茶碗を机に落としてしまった。
いやいやいや、今はそんな事どうでも良い。俺が最優先すべきなのは頬をほんのり紅く染めて、うっとりと惚けてる妹の方だ。


「…えっと、史佳ちゃん。何でゆうちゃんがそこに出てくるのかな?」

「い、いやー。別に深い意味はないよ。ただ、いるのかなーって…」


史佳ちゃん、史佳ちゃん。
お兄ちゃんはキミの目の前に座ってるんだから、そんなに目をキョロキョロと泳がせなくても良いんだよ?
え?っていうかなになに?今日のお昼休みにゆうちゃんに対して顔を赤らめてたのは照れじゃなくてLikeからくるやつだったの?もしかしてもしかするとLikeじゃなくてLoveなんですか史佳さん?
いやいやいやいやいやいや、ちょっと待ちなさい。一度落ち着こう史佳。ゆっくり深呼吸して、よーく考えてみよう。きっとそれは何かの間違いだから。
ほら、綱渡りでドキドキしてる時に異性を見るとその人のことが好きでドキドキしてるんだと勘違いしちゃうアレですよ。
うん。きっと史佳ちゃんは、お兄ちゃんの教室に走ってきてドキドキしたのを、なんかゆうまにLoveなアレと勘違いしちゃってるだけですよ。
ははーん、史佳ちゃんたら慌てんぼさんだな☆



「明日、ゆうまさんの分のお弁当作ろうかな…」

「に、」




ぼんやりと遥か彼方を見つめながらそう呟く妹に対して、俺の悲鳴に近い声は辺り一面に響き渡った。




「兄ちゃんは絶対に認めないからなー!!!」















【断固反対は兄心】

(あら、私はどこぞの馬の骨に史佳をやるぐらいなら、ゆうま君にあげた方が安心だと思うんだけど)
(母さぁああん!!)
(ねぇ、カイ君。ゆうまさんの好きなものって何?)
(お願いだから正気に戻って史佳ー!!)


まさかの敵が現われた!
(助けてくれる人は誰もいない)


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