BSB
□Give me your smile!
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「いっただきまーす!」
注文した料理が全て揃ったのを確認してから俺はお決まりの台詞を口にした。
俺の高校合格祝いにとゆうちゃんの彼氏であるアキさんが俺たち(もちろん俺とゆうちゃん)をファミレスに連れてってくれた。しかも俺がメニューを開くとアキさんは何でも好きなものを頼んで良いぞと豪快に笑いながら言ってくれた。アキさんってすげぇ優しくて良い人だ。
ペペロンチーノ、ポテトフライと唐揚げのセット、野菜サラダにオレンジジュース。
現在テーブルには俺の好きなものがズラリと並んでいる。更に食後にはショートケーキとアイスとチョコレートパフェも来る事になっている。
本当はピザとか杏仁豆腐とかもう少し注文したかったけど流石に初対面の人にそこまでしてもらうのも悪いし、それにゆうちゃんの目が「もう勘弁してあげて」って言ってたので我慢した。でもマジでアキさん良い人。
「ふっごくおいひいでふ!あひはん、あひはほうほはいまふ!」
「食いながら喋んなバカイト!」
「ゆう、神林は何だって?」
「凄くおいしいです。ありがとうございます、だそうです」
「はははは。これだけ頼んで不味いですなんて言われたら俺めげるわ…」
「まさか!すっごく美味しいですよ!それに俺、アキさんが良い人で本当に良かったと思います!」
口の中にあった料理をオレンジジュースで流し込んでから俺は目の前に座る二人へと言った。
「だってゆうちゃん、すげぇ楽しそうに笑ってますもん」
中学で離れてからお互い忙しくて中々会うことができなかった。
会えなくて寂しいというのもあったけど、ゆうちゃんが笑えてるかが一番心配だった。
ゆうちゃんは俺みたいに誰とでも付き合えるタイプじゃないし、嫌な事は嫌と口にする。それによって先輩とかに反感を買ったりしてないか、嫌な思いをしてないか。"感情"を溜め込まずにちゃんと外に出せているかが凄く心配だった。
でも、久し振りにゆうちゃんに会って安心した。ゆうちゃんが凄く良い顔で笑ってたから。
心配して損するぐらい凄く楽しそうに、凄く嬉しそうにアキさんの隣りで笑ってたから俺は凄く安心した。
「ありがとうございます」
「カイト…」
「でもアキさんにゆうちゃんは独り占めさせませんよー」
「「…は?」」
少しだけしんみりしていた空気がアキさんとゆうちゃんの間の抜けた声によって打ち消された。
アキさんには感謝している。
ゆうちゃんにとってもアキさんはとても大切な人だと分かっている。
でもだからと言ってアキさん一人がゆうちゃんを独占するのは狡い。
俺だってゆうちゃんと遊びたいし、一緒にいたい。
だって、
「中学三年分の淋しさ埋めなきゃいけませんから」
俺もゆうちゃんの事が大好きだから。
【Give me your smile!】
(ゆうちゃんいなくてすげぇ寂しかったんだよ俺ー!)
(か、カイト…。俺もだこの野郎ー!)
(え、何そのテンション。お兄さん付いて行けないんだけど)
極上の笑顔を僕にも頂戴!
そしたら僕も笑えるから