BSB

□天使と悪魔は紙一重
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カイトと付き合う前からも兄貴からカイトの持病について少しだけ聞いてた。もう治らない病気だけど、薬とかちゃんとしてれば一般の人と変わらないらしい。

そう、ちゃんとしていれば。


「ゲホ!ゴホゴホ!ゴホっ!」

「だから来るならマスクしろって言ったのに」

「ゲホ!え"、え"へ?」

「笑って誤魔化そうとしても遅いから」


俺がジロリと睨んで言うと、カイトはバツが悪そうな顔をして布団の中に潜り込んでしまった。
この前兄貴の見舞いに来たカイトは、あろうことかマスクなどの感染対策もせずに無防備な状態でやって来たのだ。案の定、カイトは兄貴から風邪をもらってしまったらしく、熱を出してこうして寝込んでいる。
自業自得なんだけど、俺はカイトが自分が病人だってことを忘れているんじゃないかって思う。一般人とそう変わらないって言っても、一応病人なんだから感染対策をしてくるのが普通だろう。なのにそれをしてこないのは油断してると言うより、ただ自分が忘れてるだけの方がしっくりくる。っていうかなんかそっちの方がカイトらしいと思う。


「何か食べる?」

「う"どん食べた"い」

「分かった」

「卵と油あげとキノコ類と海老の天ぷらとかも付けて欲しいです良郎君」

「ねぇ、本当に病人だよね?」


喉はガラガラ、鼻もグズグズで熱もある風邪っぴきなのにこの食欲。風邪をひくと食事を取らない兄貴の看病も大変だったけど、カイトはカイトで問題がある気がする。昔からずっと思ってるけど本当にその体の何処に入っていってんの?

とは言うものの、


「…卵は入れてあげる」

「わ"ーい。ありがとー、良君」


カイトの要望を叶えてしまう俺。アキさ、義兄さんが兄貴を甘やかしてるのと同じ様に、俺もカイトを甘やかしてるのかもしれない。いや、確実に甘やかしてるのかも。
でもしょうがないじゃん。さっきみたいに、へにゃりと目の前で笑われてみなよ。嬉しそうな笑顔なんか見せられたら俺にはどうすることも出来ない。
癒されるし、なんかもう可愛いすぎるし…。まぁ、これが惚れた弱味ってやつだと思う。間違いなく。


「あ"。良君、良君」

「何?言っとくけどこれ以上具は増やさないからね」

「分がってるよ」

「?、じゃあ何?」



惚れた弱味じゃないとしたら、



「良君の愛情たっぷりのうどんでお願いします」




とびっきりの笑顔でとびっきり可愛いことを俺に言うカイトが悪い。




「…油あげも入れてあげる」

「良君だいすきー」



















【天使と悪魔は紙一重】

(俺が弱いの知っててやってるのか?!)
(良君、顔真っ赤だけど大丈夫ー?)



可愛い天使は小悪魔の様に魅了する
(僕に回避する術なんてある訳ない)


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良郎君が何だかツンデレ風味なんですが。苦労人は私の趣味です(え)
良郎君はうちの絵仁に思いっ切り振り回されるといいよ(によによ)



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