破滅
□覚醒
1ページ/6ページ
「だりゃあ!」
銀さんの声が聞こえる。
・・・雨の音が、そう聞こえさせてるのかもしれない。
「おぉ、起きとったのか?」
布団の上から、窓の外を見ようと首を伸ばす僕に驚いたのか、坂本さんが少し緊張した声をかけた。
「えぇ、すみません。なにが起こったのかよく憶えてないんです。」
「・・・そうか。どこめでおぼえちょる?」
「・・・銀さんがいなくなるところまで。」
「そか。その後のことは?」
「なにかが、崩れ落ちて・・・。そこからは憶えてません。」
そこまで聞いて、坂本は新八の異変に気がついた。
(・・・仮面かぶっとるみたいじゃ)
戦争中、大切な人を失った人が起こす、感情の欠落。
昔、何度も見たその瞳は何処までも闇に包まれていた。
「もし、もしじゃぞ?
もし、銀時がここにいるとしたらどうする?」
「銀さんがいるんですか!?」
銀時の名前を出したとたんに眼に輝きを取り戻した新八を見て、彼にとって銀時の存在がどれほど大きいのかを知った坂本は焦る。
「落ち着け!もしもの話きに。
・・・その銀時が銀時じゃない銀時になってたらどうする?」
「・・・どういうことですか?」
意味がわからない、そんな意味を含めて聞き返す新八に、坂本は笑顔を向けた。
「・・・いや、なんでもないきに。なんか食うかが?」
「・・・いえ、なにも入りません。」
「なにか食わんと、もたんきに。」
「じゃあ、聞かなきゃいいじゃないですか。」
「アッハッハッハッハー!なにか食べたいものは?」
「・・・神楽ちゃんと相談したいです。」
「了解じゃきにぃ〜。じゃあ、神楽ちゃんのところに直行じゃぁ〜!!」
そう言って、坂本は新八に背を向けて歩き出した。
新八は窓の外に視線を向けて、にっこりと笑った。
「・・・銀さん、」
.