破滅
□覚醒
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「知ってますよ。」
「「!」」
「銀ちゃん、たぶんズラと試合してるネ。」
「僕が」
「わたしが」
「「銀ちゃん/さんの声を聞き間違えるわけない(ヨ)」」
新八からは、全ての感情が消えた。
神楽はいままでにないくらい楽しそうな表情で笑った。
その表情に、坂本と高杉の背には冷たいものが走った。
まるで、白夜叉と初めて対峙したときのように
「・・・全部知ってんのか?」
「えぇ、銀さんのことは全部しってますから。」
「銀ちゃん、このごろ夜中に起きてたアルよ。」
新八の言葉を皮切りに、神楽は話始める。
「泣きながら、ですけどね。・・・その時、聞いちゃったんです。」
「銀ちゃんが喋ってたネ。そこにいるのは、銀ちゃんだけだったのに、二人いたヨ。」
「銀さんと、銀さんの中にいる“白”という人物」
「ゴリラ共は、わたしたちが知らないと勘違いしたみたいだけどナ」
「その他にでていた、“攘夷戦争”“桂小太郎”“高杉晋助”“坂本辰馬”・・・、これらのキーワードから、安易に予想できました。」
「・・・白夜叉。これが、銀ちゃんの昔の名前なんダロ?わたしはよく分からなかったけど、攘夷戦争のときの“化け物”アル。」
交互に喋り出した神楽と新八
坂本と高杉はそれを黙って聞くしかなかった。
「その時、決めたんです。銀さんが化け物なら、“鬼”ならば、僕らもそうなろうと・・・」
「万事屋は、運命共同体ネ。離れないし、離さないアル。」
「銀さんが二重人格と言うことも、その時に気がつきました。」
「・・・銀ちゃんの師匠、“吉田松陽”さんのことも知ったネ。その人の命日がもうすぐだってことも」
神楽を最後に全く喋らなくなった二人
高杉はそんな二人を見てニタリと歪んだ笑みを見せた
「クククッ、なんだぁ?全部お見通しだってかぁ?」
「子供の目も侮れんのぉ〜。・・・しかし、これで、おぬしらを止めない理由にはならんぞ?」
坂本もバレてるなら話は早いと悲しいような、嬉しいような笑かたをする。
「えぇ、わかています。」
「だから、わたしは今、銀ちゃんを止めるまで、夜兎の血と戦うことをやめるネ。・・・夜兎の血と一緒に生きるヨ。」
「・・・感情なんていりません。銀さんと一緒に笑える世界が出来るまで。・・・全てを壊します。」
そういって、神楽は日傘を、新八は神楽の部屋に飾ってあった、真剣を取り、構えた。
(あぁ、こいつらは俺らとなにも変わらない。)
二匹の鬼が目覚めた
(大切なものを失ったときの俺たちも壊れていた)
高杉は一度瞼を下ろし、真っ直ぐに鬼を見た。
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