破滅
□覚醒
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「あー、楽しかった。」
伸びをする白夜叉に桂はタオルを投げ掛けた。
「さすがに少し、弱くなったな。白。」
「そお?たぶんそれ、俺が弱くなったんじゃなくて、銀時に力、融合し始めてるからだと思うなぁ。」
わしゃわしゃと、元からぐしゃぐしゃの髪をさらにぐしゃぐしゃにするように髪の毛の水分を飛ばす白夜叉に桂は、髪が傷むと注意する
「融合?」
「うん」
白夜叉がテレビをつけた。
明るい女性の声が今の天気と、これからの天候の移り方を喋っているところだった。
「あ、結野アナだ。・・・融合ってゆうか、人格が元に戻り始めてるみたいなんだ。」
「そうか・・・」
もとの人格とは、銀時のことだ。
銀時になったら白夜叉と剣を交えることは無くなるのかと少し寂しく思いながら呟いた言葉はその感情をそっくり現していた。
「たぶん、銀時が、銀時のまま守りたいものがたぁぁぁくさん出来たからだと思う。」
「白、お前は消えるのか?」
「・・・それは、わからない。銀時を守れるのは、俺だけだと思ってたんだけどなぁ。自意識過剰だったみたいだ。」
タオルに頭に被る白夜叉の表情は見えはしないが、きっと泣きそうな顔をしているのだと桂は白夜叉の頭を撫でた。
「白・・・」
「そんなしょぼくれた顔すんなって。・・・あ、今日は嵐だってさ。」
ガシャァァン!!
顔をあげて、桂を見る顔は辛うじて笑みを作れては痛けれど、目元に真新しい水の跡を見つけて、なにか声をかけようとしたけれども白夜叉の嵐を告げる言葉と硝子が割れる音に遮られた。
「なんの音だ!!」
白夜叉はするりと桂の手の下から抜け出すと、音のしたほうへ急いだ。
「見に行こう♪」
「まて!白!」
「早くしないと、おいてくよぉ〜。」
白夜叉が、桂に背を向けて走り出す。
桂には泣いていたことがバレたかもしれない。
それでも、だからこそ、白夜叉は誰にも見られないように、涙を流した。
(俺は・・・お払い箱か、銀)
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