starry☆sky あの星空の下で〜春〜【夢小説】

□第一章
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4月7日。

雫は門の前にいた。

男ばかりしかいない入学式は、どこか居心地が悪かった。

入学式が終わってからというときも、歩けば雫を見る視線ばかりで、落ち着かなかった。


だから雫は教室にじっとしていた。

教室でも雫を見る目はたくさんあるが、歩き回るよりはマシだった。

見られるのは、なんだか嫌いだった。

男ばかりのクラスだとしても、友達がいない雫にとっては、どうでもいいことだった。それよりも見られるのが嫌だった。

そう思って、じっとしていると、二人ほど雫の机の前に立った。

「ねーねー。女の子なのに、宇宙科選ぶって良い度胸だよねー。そーゆーところも可愛いけど」

_____女の子なのに

その言葉は何故か鬱陶しく思えた。

「顔も可愛いのに。ね?彼氏いるの?」

無視すればいい。

そうすれば、勝手に退いてくれる。

雫はそう自分に言い聞かせて、じっとしていた。

「ね?何か答えてよ」

早くいなくなってよ。

雫は額から変な汗をかく。

体が震える。

「…ちょっと。公衆の前で口説くのはやめたら?その子、怖がってるよ」

不意に声が聞こえてきた。

男の人…の声?

「木ノ瀬?!…あ、その。怖がってないよ、この子。な、なぁ?」

「お、おぅ…」

「肩が上がって体震えてるのに、よくそんなこと言えるね?」

その言葉を聞くと男は舌打ちをしてどこかへ行った。

だが、その男たちが去っても雫の震えは治まらなかった。

「大丈夫?顔、真っ青だけど」

助けてくれた男の人が声をかける。

顔色が悪いことに雫は気付く。

『あ…その…助けてくれてありがとうございます…』

聞こえるか聞こえないかという声で雫は話す。

そう言った途端沈黙が続いた。

_____何か不満でもおこしちゃったのかな?

雫は不安になりながら、その男を見つめる。

沈黙を破ったのはため息だった。

「あのさ」

「…笑って」

え?

何を言っているんだろうかという表情で雫は男を見つめる。


『…笑う?……なんで?』


何を嬉しいことも喜ばしいこともない。

なのに、笑ってという。

…無理だよ、そんなの。
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